平成25年3月号

さんぽみち3月号もくじ

・星辰の家特集!
・今月の事業所便り
・吾輩はジータである
・院長先生の健康豆知識
・今月の行事予定
・文芸作品
・部署対抗ソフトバレーボール大会開催しました
・編集後記

 

星辰の家特集!
いろんなイベントやってます

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星辰の家では、たくさんのカルタをレクリエーションに取り入れています。「上毛カルタ」「富士見カルタ」「群馬の方言カルタ」に星辰の家オリジナルの「星辰カルタ」があります。

特に「群馬の方言カルタ」は、利用者の方々に好評で楽しまれています。「星辰カルタ」は、利用者様の様子を題材にして、こちらも好評ですが近々リニューアルの予定です。他の部署でも作成してみてはいかがでしょうか。

毎月楽しいイベントを行なっていますが、2月は6日・14日・20日に大きなイベントを行なっています。

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6日は、節分イベントにて豆まきを行いました。当日は職員2名が鬼になり、利用者様が豆を投げて大きな声で「鬼は外ー、福は内ー。」と楽しまれていました。また投げる事よりも皆様、豆を食べることの方が嬉しい様で、食べながら投げる方もいらっしゃいました。その後、射的を行いました。利用者の方々からは「昔を思い出すね。」「俺は昔は、上手かったんだよ。」等と言われる方もいて盛り上がりました。

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14日には、バレンタインのイベントを行いました。男女関係なく利用者様に楽しんで貰える様に、ホットケーキに生クリームやチョコチップフルーツを使用し、思い思いのトッピングをして召し上がっていただきました。トッピングする前のホットケーキを食べてしまう方、苺だけを先に食べてしまう方等いろいろいらっしゃいましたが、各々楽しんでいただき、よかったと思います。

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20日は、2月生まれの利用者様2名の方と一緒におやつツアーに行きました。当日は不二家に出かけました。到着前から「いっぱい食べようね。」と楽しみにしていました。店内に入ってからは「皆んなこう言う所に来るのかねぇ?」「こんな所に来るのは初めてだよ。」と嬉しそうな表情でした。ケーキは食べ放題形式にし、好きなケーキを選んでいただきました。ケーキを食べて「これは本当に美味しいね。」と言われ、すごく喜んで召し上がられました。店員さんがバースデーケーキを持って来てくれ、ケーキのロウソクを嬉しそうに消してくれました。他のお客様も一緒に拍手してお祝いしてくれました。最後に不二家のペコちゃんのヌイグルミを持って記念写真も撮り、楽しい誕生日会になりました。

 

今月の事業所便り

あかしあの里Ⅱ
みんなで楽しく節分

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あかしあの里Ⅱでは、2月2日に節分で豆まきを行いました。男性が鬼役になり、女性に豆を投げていただきました。皆さん張り切っていて「鬼は外、福は内。」と大きな声で元気よく豆を投げていました。鬼とおたふくの仮面はそれぞれ自作していただき、当日までになんとか間に合わせる事が出来ました。節分も1年に1回のイベントで皆さんでお面を作ったり、飾ったりして楽しく行う事ができたとおもいます。これから少しづつ暖かくなって行くと思うので、外出等楽しんで頂けるイベントを考えていきたいと思います。

 

クリニック通所リハビリ
和風インテリアライト・東京スカイツリー完成!

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クリニック通所リハビリでは、1月の東京周遊旅行に参加された方が、手芸の作品として和風インテリアライト・東京スカイツリーを制作しました。友禅和紙に一つ一つ穴を開けて、ライトを点灯させると、スカイツリー型紙の穴からこぼれる虹色の灯りが、とても綺麗です。制作した利用者様は、飾るのが楽しみだと話されていました。また、完成品を見た他の利用者様も、是非作ってみたいと、現在1番人気の手芸になっています。ご覧になりたい方は、クリニック通所リハビリまでお越し下さい。

 

通所リハビリ
「K2ハーモニー」の方々を迎えて

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2月22日(金)通所リハビリでは初めてのユニット、ピアノ伴奏阿部啓子さんと、ボーカルの須田桂子さんをお迎えしました。「啓子のK、桂子のKでK2ハーモニーです。」と自己紹介して下さいました。創春館通所リハビリに通われている照井順子様のご紹介で今回の慰問が実現しました。

唱歌から演歌まで様々な歌を歌ったり、聴かせていただきました。発声練習を行ったり、指の体操をしながらの歌だったり、スカーフを使い、手を動かしながら声を出したり、先生と一緒に、皆さん大きな声で歌いました。アンコール曲は、美空ひばりの『津軽の故郷』でした。きれいな歌声、素敵な歌詞が心に沁みました。「まだまだ歌い足りない、もっともっと歌いたい。」という声が多く聞かれる、あっという間に1時間となりました。「K2ハーモーニー」の美しい演奏と歌声楽しみに、次回のお越しをお待ちしています。

 

わきあいあい
プレゼントはミニアルバム

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2月、デイサービスわきあいあいでは5名の方がお誕生日を迎えられました。お誕生日のプレゼントとしまして、1年分の写真を集めてミニアルバムをお渡しできるようにしております。お誕生日会では、皆でケーキを食べてアルバムの写真を見て一年を振り返りました。これからも、沢山の思い出を写真に収めていきたいと思います。

 

療養棟2階
赤鬼と青鬼の関係って??

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療養棟2階では6日に節分のイベントを行いました。節分についての由来や、恵方巻きの説明をした後に、赤鬼、青鬼が登場しました。普通は鬼に向けて豆をまくのが本来なのですが、それぞれの鬼の自己紹介や、2人の関係、年齢といったことも披露し、笑いが起きていました。すばしっこい鬼に向けて、一生懸命豆を投げて、厄よけとストレスの発散に努めていました。まだまだ寒い日が続きそうですが、体調を崩さずに1年過ごせることを願っています。

 

明月
車椅子講演会in伊香保中学校
明月では車椅子講演会を伊香保中にて行いました。

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前半は1年生と2年生合同での車椅子体験。障害物コース(高い段差や砂利道を想定)を2人1組で試走していただきました。高齢者の方がどんな風に感じるのか、高齢者体験ゴーグルや耳栓をした生徒は「怖い。」や「大変だなぁ。」等、身をもって体験できた様子でした。

後半はユニバーサルデザイン・バリアフリーについての小話。身の周りの様々な物にその考えが活かされている事を話し、最後は映像を使って明月の紹介をしました。

今回の講演で、ただ「大変なんだ。」ということでなく、「気付き、声掛けの大切さ」を生徒に伝えられたと思います。伊香保が思いやりの気持ちを忘れない地域になればと思います。

 

しらさぎ
豆まきで厄払い

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しらさぎでは3日に豆まきを行いました。当日は、鬼に扮した男性職員と唯一の男性利用者様がホールに登場し、他の利用者様に「鬼は外、福は内!」と大きな声で豆をまいて、厄払いを行いました。鬼役の2人があまりにもハマリ役だったのか、本気(?)で怖がっている利用者様もいました。豆まきの後の昼食では、今年の恵方の南南東にテーブルを向け、1年の健康を願いながら、全員で恵方巻を食べました。「おいしいねぇ。」「また食べたいねぇ。」などの声も聞かれ、みなさん喜ばれていました。

 

DSゆめさき
ぽらりす保育園との交流

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今年で2回目となるぽらりす保育園との交流会を2月14日に行いました。当日はお天気も良く、園児達は散歩がてら歩いてゆめさきにやってきました。園児達の自己紹介の後、遊戯の発表となりましたが、園児達の大きな掛け声と力の入った動きの遊戯に、利用者様も職員もパワーをたくさんもらいました。ゆめさきからも「ゆめさき体操」を園児達と一緒に行いました。駄菓子屋さんごっこもしました。

 

あかしあの里Ⅲ
にぎやかな手作りおやつ

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2月25日に、手作りおやつで黒糖まんじゅうを作りました。スタッフが生地を作り、餡を包んでもらいました。まんじゅうを初めて作る方もいれば、昔は人寄せのある時には必ず作った方もいて、にぎやかな手作りおやつになりました。初めての方はなかなかきれいに丸められず、なれている方に手伝っていただいたりしましたが、最後には全員きれいなおまんじゅうを作ることができました。3時に蒸かしたてのおまんじゅうをいただき、一同口を揃えて「温かくておいしい。」「もう1個食べたいわ。」と感激の手作りおやつでした。

 

療養棟3階
福茶の香りのご満悦

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療養棟3階では2月3日に豆まきを行いました。手作りの大きな鬼のプレートに利用者様に豆を投げてもらい皆さんに厄落としをしていただきました。豆をまいている時は、皆さんが大きな声で「鬼は外、福は内。」と楽しそうにまいている姿が見られていました。他にも節分の豆を使い、福茶も提供したところ利用者様から「おいしいよ。」「香りがいいよ。」などの喜ばれる声が聞かれ満足されたようです。これからも利用者様が笑顔で楽しんでいただけるイベントを考えていきたいと思います。

 

春らんらん
思いを形にバレンタインデー

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春らんらんでは、2月14日にバレンタインデーのイベントを行いました。ヨーロッパでは、男性・女性を問わず、恋人や親しい人にお花やカードを贈る習慣があるそうですが、春らんらんでは、利用者様全員に、職員からのバレンタインカードとお菓子をプレゼントさせていただきました。お渡しする際に利用者様が見せてくださった笑顔がとても素敵で、思いを形にすることの大切さをあらためて感じました。

 

GHゆめさき
盛り上がった家族会

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グループホームゆめさきでは、2月3日に家族会を行いました。当日は、利用者さんとご家族にも参加していただき、豆まきを行いました。「鬼は~外、福は~内。」と大きな声で楽しそうに行ってくれました。その後は、フロアーに移動して、赤鬼に扮した職員とご家族に向かって「鬼は~外、福は~内。」と豆まきを行いました。多くのご家族の方に参加していただき、盛り上がることが出来ました。次回も、楽しんでもらえるような企画を考えていきたいです。

 

あかしあの里Ⅰ
心のこもったデコレーション

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あかしあの里Ⅰでは、2月13日にバレンタインデーのケーキ作りを行いました。スポンジケーキを用意して、女性利用者様に生クリームとフルーツを飾りつけしていただきましたが、慣れない作業だったからでしょうか。バレンタインデーという特別な日だったからでしょうか?やや緊張しながら真剣な表情で飾りつけに挑戦し、心のこもったデコレーションを完成させて下さいました。作ったケーキを召し上がっていただくと皆様から笑顔がこぼれ「美味しい~。」と大成功・大満足のバレンタインデーとなりました。

 

涼風の家
今月もお誕生日をお祝いしました

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2月28日に、中澤たつ様(8日生・92歳)、戸塚房枝様(25日生・81歳)お2人の、お誕生日会を行いました。全員でハッピーバースデイを歌い、ろうそくの火を吹き消し、ケーキを食べました。感激なのか照れ隠しなのか「誕生日なんて初めてです。」「てことは1歳かい?若いねぇ。」「本当ねぇ。」なんてまるで漫才のような会話もあり、楽しい時間を過ごしました。

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ケアセンター朱咲
節分でオニ退治

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ケアセンター朱咲では1階、2階共に豆まきを行いました。窓から入ってきた鬼にビックリされる方、鬼が変装した職員と気づき大笑いされる方といました。職員と気づいてくれた利用者の方は優しく豆を投げ、そのまま気づかなかった方は思いっきり豆を投げていました。オニ退治の後は、鬼のカツラとお面を被って写真撮影をし、玉入れを行いました。一生懸命投げていただき、最後に美味しく豆をいただきました。

 

吾輩はジータである そしてまた貴方に恋している

東郷 彦四郎

第26章 ロマンチックな旅②(いざ山口へ)

平成十一年十月十七日、ひんやりとした空気が肌寒さを感じさる京都の朝。休日のせいか行き交う車も少ない旅館の前の通りに、エスティマが横づけされた。介助によってやっと歩けるリンさんを、女三人がかりで車に誘導し、全員がシートに腰かけほっとした時、運転席の木暮氏が振り返りながら、「リンさん、今日は、一気に山口迄行きます。大丈夫ですか?」と、戦に出かけるような口調で話しかけた。長旅の疲れをスタッフみんなが心配していた。

「ええ、大丈夫です。」と、リンさんにこやかな笑顔としっかりした声で応えたものだから、車内には安堵の空気が漂った。今日も、一日で四百キロは超えようかという、名神高速、中国縦貫道を使っての長旅である。

「リンさん、本当は?婦長のいびきでよく眠れなかったんじゃないですか?」と、木暮氏がハンドルを握り前を向きながら話しだした。

「まあ、私、いびきなんか、かかないですよ。ねえ、リンさん?」

「ええ、かいていませんよ。」

「そんな事言ったって、リンさんも本当の事は言えませんよねえ。」

「いじわるな言い方ですよねえ」と、婦長リンさんの方を向く。

「いいえ、本当ですよ。」と、涼しげに応えるリンさん。

「いやあ、いびきと言えば、数年前ハワイのホテルで事務長と一緒の部屋に泊まった事があるんですよ。夜になってワイキキ海岸を散策し、女性スタッフの部屋でワイワイ談笑し、事務長は楽しそうにはしゃいでいるので、残して、私一人先に寝たんですよ。」

「いやあ、あれは院長、私が先に寝るといびきで眠れなくなるんじゃあ、と気を遣って、一時間遅れて寝たんですよ。」

「多分、私が寝たのは零時半頃でしょうか。それが午前三時に事務長のいびきで起こされたんですよ。ホテルの部屋は十五階だったでしょうか、その時、外では道路工事をやっていて、防音が悪いのか、「ドッドッドッ」という音が響くんですよ。中では、トドの様な格好の事務長が全身をふるわせて、「ガッガッガ、スーピー」と、部屋中に響き渡る音を出すものですから、とても寝られたものじゃありません。寝るどころか、うるさくてその部屋にいたたまれないのですから。深夜三時では、どうして過ごせばいいのか、ほとほと困り果てました。仕方なしに、ダイヤモンドヘッドまで走って時間を潰そうと考えついたんですよ。ダイヤモンドヘッド迄は三キロ程でしょうか。山の登り口に行くには、トンネルをくぐらなければ行けません。始めて行ったのですから、そんな事も知らず、入口は夜間通行禁止で、閉鎖されていました。トンネル横の土手は五十メートル程もあったでしょうか、土手を越えればダイヤモンドヘッド迄行けるかもしれないと、十メートル程登ってみたのですが、ふと、こんな深夜に誰かに見つかれば通報されるかも知れない、否、米軍に銃撃されるかも知れないと猛烈に不安になって、急いで土手を降り、不審者に間違えられないかとビクビクしながら、誰もいない住宅街の通りを歩いたんですよ。」

「先生、北朝鮮だったら、つかまって銃殺ですよ。」と、事務長。

「その通りだよ。でも不思議ですね。そんな耐えがたいいびきを経験すると、大概のいびきや雑音では平気で眠れるようになりました。昨晩は事務長には廊下で寝てもらいました。」

「まあ、おかわいそうに」とリンさんが言えば、「いやあ僕は平気ですよ、廊下で寝るのは慣れていますから。」と、事務長。

リンさんは、男性達の楽しい会話に、心がどんどん若やいでいくのを感じていた。そんな風に過ごしているうちに、車は兵庫県のサービスステーションにトイレ休憩となった。やはり三人の女性がかいがいしくリンさんに付き添ったのである。

車が動き出すと、上原が口を切った。「リンさん、この先の福崎インターを降りると、私の母の実家がすぐそこです。車で十分程でしょうか。そして西の小さな山々を越えると母の嫁ぎ先、私の実家になります。親戚同士であった母の家に、若い頃の父がよく自転車で山を越え、遊びに来ていたと聞きました。十才も年が違っていて、お風呂に一緒に入った事もあったようです。母の父がとても私の父を気に入り、早くから自分の娘を嫁にと決めていたようです。」

「昔はそんな風でしたよ。たまたま私は前橋に来て、そんな事はなかったですがね。」とリンさん。

「リンさんが初めて上野で真一さんに会った時、どうでした、とてもハンサムでしたか?」と常木氏が興味深そうに、高いトーンでたずねた。

「余りよく覚えていませんが、何か海軍の制服がとてもかっこ良く見えた気がします。」

戦争でお亡くなりになるなんて、「お若いのにくやしいですわねえ。」と、しんみり小林氏が言えば、上原更に、「こんなことを言ってはリンさんを悲しませる事になるかも知れませんが、私の母が生前、出征した父が、終戦前に帰ってきて再会した時は生涯最高の喜びだったと」

「いえいえいいんですよ。もう遠い昔の事ですから」と言いながら、リンさんは不思議な感覚に襲われていた。真一との思い出がさらりと何の哀しみもなく心に浮かび、上原の顔をながめながら、真一さん、今あなたはここにいるじゃありませんか、と心の中でつぶやいていた。

「お母さんはお亡くなりになったのですね。」とリンさんがたずねた。

「二年前創春館で亡くなりました。事務長は手回しがよくてね。母が亡くなって二時間後には、車に母の為の布団が敷きつめられ、沢山のドライアイスが積み込まれていました。リンさん、母を運んだのはこの車ですよ。息子二人と三人で前橋から兵庫迄運びました。一月の寒い時期で、ドライアイスのせいで車内がなかなか暖かくなりませんでした。余中三人で、車内に母を放りっぱなしにして、深夜のサービスステーションで食事をしましてね。『おばあちゃんは、私を放ってあんたたちなにしてんのよ、と文句言ってるかもな。車上荒らしが遺体をみたらびっくりするぜ』と息子達と大笑いしたものです。福崎インターを降りて、母の実家の周囲をまわり、先祖代々の墓の側も通って、朝九時頃実家に着きました。」

「息子や孫達にそんな風におくって貰えるなんて、お母さん本当にお幸せな人ですね。」とリンさん。

「私もそう思いますよ。死んだ後そんなに暖かくおくられると思うと、何か死ぬ事がつらくなくなるような気もしますね。」と常木氏。

そんな事を話しているうちに、車は岡山を過ぎ広島へ入ったのである。

「リンさん、真一さんから来た手紙の中に、山口について書かれた物はありませんか。」と事務長が訪ねた。

「いくつか手紙を持ってきました、山口や萩や秋芳台について書かれたものがあります。山口では、県の図書館で何かイタズラした様な事が書いてありました。」

「どんなのですか?見せて下さいますか?」

リンさんは可愛らしい布の小袋の中から、黄色く変色し、すりきれた一つの封筒を取り出し、婦長に渡した。そこには驚く様な事が書かれていた。真一は、図書館所蔵の大漢和辞典にいたずら書きをしたというのである。そして、「りん」という漢字のページに、落書きしたので、戦争が終わったらその落書きを二人で一緒に見るのを楽しみにしている、という内容であった。

「リンさん、県の図書館へ行きましょう。そして、その漢和辞典を探してみようじゃありませんか!」と事務長が叫んだ。車内は興奮に包まれて山口へ向かった。

 

院長先生の健康豆知識

「関西弁ロコモティブ問題」

「先生、また膝が痛うてしょうがないんです。また注射してくれますか?」

「そやかてAさん、先週注射したばっかりやで。そんなにすぐに注射してもしょうがないねん。それに、Aさんの今の膝、腫れてもないし、赤うもなってないし、飲み薬で十分や。」

「先生、そんな冷たい事言わんと。この前の注射ものすごう効いて、痛みもようなりましてん。そやけど、また昨日あたりから痛みがでてきましてん。」

「注射したいのは山々やけどね。お上の方でも、Aさんみたいな人が日本中ぎょうさんおるさかい、そんな事しとったら保険がもたへんせいか、そんなに何回も保険使われんようにしとんねん。冷たいようやけど、年とったらみんなどっからかし痛うなるさかい、みんなに注射したら、医療費で国の財政がパンクするいう訳や。」

「ほんなら先生、保険使わんと自分の金で治療費払うたら注射してくれるいう訳ですか?」

「そりゃそういう理屈もあるけど、医者としては、注射が症状を抑えるだけのもんやという事がよう分かってるさかい、Aさんがあと十年も二十年も生きる事考えたら、どんだけやるねん、と考えてしまうねん。何年もつき合うていかなあかん問題やから、ここはじっくり腹をすえて考えなあかんで。」

「腹をすえるて、どういう事ですのん。」

「この膝の痛みと今後どういう付き合い方をするか考えるちゅう事や。」

「付き合い方?」

「そうや。まず第一に、膝の痛みがなんで起きてるのか考える事や。自分が納得できる迄医者によう聞いて、自分の頭で考える事や。Aさんの場合、膝の半月板という軟骨がすり減って痛い訳やけど、これは年とって使い過ぎたせいやから、ヒアルロン酸飲んでも治らへんで。人工関節という方法が最終的にあるけど、手術は嫌やろ。結局、できる事は、ずっと死ぬ迄リハビリやと考えて、膝の周囲の筋肉を保つ事、これだけや。リハビリの方法は何んぼでもあるから、自分で考えてや。勿論、痛みが痛い時は薬のんでもええし、たまには注射しても構へんけどな。あくまで筋力をつけて、膝の負担を軽うする事が大切や。体重減らさなあかんで。昔の言葉でええ言葉があるやん。『だまし、だまし』いうこっちゃ。膝をだましだまし使うていくねん」

「先生、この前の注射よう効いたから、もう治ったと思ったら、また痛うなって、そやけどまた注射の後の気持良さが忘れられんで来たんやのに、なんやだまされた気分やで。」

「そりゃそうや、痛みをだましとんねんから、そらまた目が覚めたら痛うなる訳や。」

「ずっとだまされといたいけど、そうもいけへんねんな、先生」

「そりゃあ治ったという事やけど、他の医者で仰山注射して、膝が化膿してひどい目に会うて、その後痛みは変らへん筈やけど、もう痛い言うてへん人おるけど、それは多分、痛みを完全に治すのんあきらめたせいやと思うんやが、痛みっちゅうのは、そういう心の問題も多いっちゅう事やと思う。」

「あんまり先生に頼ったらあかんのん?何や冷たい感じがするで、先生」

「冷たいっちゅう訳やないけど、本当の事言うてるだけや。本当の事ちゅうのはなかなか聞かれへんで、Aさん。いつでも本当の事で、いちばん大切な事を言うてるんやから、しっかり聞いて感謝して貰わなあかんで。」

「よう言うわ、全然そんなんよう分からんわ。とりあえず先生、理屈はどうでもええから、金払いまっから注射してえな。」

 

今月の行事予定

☆あかしあの里Ⅱ☆
 3日 雛祭り
14日 ホワイトデー(おやつ作り)
17、20日 お誕生日会

 

☆通所リハビリ☆
 4日 ひな祭り
 8日「レッドシャトー」コンサート
 9日「レイナニ」フラダンス発表会
12~14日 お誕生日会
19日 「芙謡会」民謡発表会
28日 「さくら筝」琴の演奏会

 

☆星辰の家☆
 7日 ひな祭り
22日 お誕生日会外食ツアー

 

☆GHしらさぎ☆
 3日 ひな祭り
19日 お誕生日会
下旬 おやつ作り

 

☆涼風の家☆
 4日 ひな祭り会
日時未定 ふきのとう取り
    やきもち作り

 

☆朱咲の家☆
 2日 ひな祭り
21日 お誕生日会
31日 おやつ作り

 

☆療養棟二階☆
 6日 雛祭り
20日 おやつ作り
27日 お誕生日会

 

☆明月☆
花見ドライブ
お誕生日会
外食(個別)

 

☆療養棟三階☆
 3日 ひな祭り
21日 おやつ作り
28日 お誕生日会

 

☆あかしあの里Ⅲ☆
 3日 お雛祭り
13、15日 お誕生日会
20日 手作りおやつ
日程未定 外食

 

☆春らんらん☆
 3日 ひな祭り
14日 ホワイトデー(ケーキ作り)
27日 ハワイアン(慰問)

 

☆あかしあの里Ⅰ☆
 1日 お誕生日会
 3日 ひな祭り
 4日 家族会
下旬 桜ドライブ

 

☆わきあいあい☆
 1、2日 ひなまつり
 9日 おでんパーティー
11日 パンバイキング
14日 ホットケーキ作り
25日 お誕生日会

 

☆GHゆめさき☆
 3日 お誕生日会 雛祭り
14日 ホワイトデー
17日 お誕生日会
28日 外出

 

☆DSゆめさき☆
 4日 雛祭り
 7、8、12日 お誕生日会
14~16日 おやつ作り
18~20日 上映会
21日 久保さんカラオケショー

 

文芸作品

寒中と 言ふ時季忘れ をる日和

節分や 追い出す鬼も をらざりし

二月や よき日続きて 寒温し

増田 静江様

 

球根を 掘って植え変え 春の夢

検診日 結果が良くて 一安心

菅野 邦夫様

 

春びより 八十路半ばを 生きている

山田 光一様

 

部署対抗バレーボール大会開催されました。

3月5日、当法人では日頃の運動不足解消と鬱憤を晴らす(ストレス解消?)ためと、ついでに職員の親睦を深めるために、ALSOKぐんまアリーナ(群馬県総合スポーツセンター)において、ソフトバレーボール大会を開催しました。業務終了後、色とりどりのスポーツウェアに身を包んだ老(失礼)若男女の職員が続々と集まり、その数なんと100人以上。八つのチームが4チーム、2つのブロックに分かれ、ブロックごとのリーグ戦を行い、それぞれの優勝チームが総合優勝をかけて、熱戦が繰り広げられました。平均年齢の若い選手層が厚いチームや、人数が少ない部署の即席混合チームなどさまざまで、オリンピック選手も真っ青なスパイクを決める人や、その球をよける人(よけちゃダメでしょ!)など珍プレイ、好プレイ、大爆笑の連続でした。総合優勝は療養棟2階、準優勝は通所リハビリとなり、熱い戦いは幕を閉じました。翌日は筋肉痛で仕事がままならない職員が多かったとか??(かく云う私もその一人です。)

 

編集後記

だんだんと暖かくなってきましたが、朝晩はまだまだ寒さが続いています。インフルエンザも少し落ち着いてきたようですが油断することなく、手洗いうがいをしっかりとして、寒さにも風邪にも負けないように元気にがんばりましょう。年越しをしたと思ったらもうすぐ春が見えてきました。皆様、それぞれ目標や夢が有ると思いますが、春は目標にむけて努力するにはちょうど良い季節だと思います。気持ちを新たに新しいことに挑戦してみてはいかがでしょうか?来月号さんぽみちもよろしくお願いします。

広報委員 高橋 弘典