平成25年6月号

さんぽみち6月号もくじ

・グループホームしらさぎ特集
・各事業所便り
・吾輩はジータである
・院長先生の健康豆知識
・文芸作品
・行事予定
・編集後記

 

グループホームしらさぎ☆これからも頑張ります!!

6年目を迎えて

 皆さん、こんにちは。グループホームしらさぎです。昨年の今頃は四周年記念イベントを企画検討していたことを思い出します。あれから一年、あっという間ですね。グループホームしらさぎは、前橋市を一望できる絶好のロケーションで(去年も同じ事書いた気がします…)、そこから見える前橋市内の夜景は格別なものがあります。(ただ、残念ながら夜勤者しか見る事ができません。)現在男性一名、女性八名の計九名の利用者様が生活されていて、その平均年齢は六月一日現在で九十.五歳!、九人中七人が九十歳以上という超高齢施設です。でも皆さんとてもお元気で、毎日過ごされています。これからも皆さんが楽しく健康にすごせるよう努めていきたいと思います。

しらさぎ管理者 橋爪 由則

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しらさぎにツバメ

  温かくなってきて、今年もGHしらさぎにツバメが巣を作りました。毎年この時期になると、どこからともなくやってきて北側の壁(事務室の窓の上)に巣を作ります。もう卵もかえったようでかわいい雛鳥の姿や鳴き声が聞かれています。(落し物の片付けが大変ですが…)親鳥が毎日せっせと何度も何度も飛んできているのを仕事の合間に見かけます。あいにくと高い壁の上なので、なかなか利用者のみなさんに見せてあげることは難しいのですが、観察しながら写真など撮って、皆さんに紹介していけたらと思っています。今後もしばらく観察して行きたいと思います。

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端午の母の日?

  GHしらさぎでは、十一日に母の日のイベントを行いました。当日は利用者のみなさんに、職員から手作りのカーネーションのプレゼントをして、記念写真の撮影です。皆さんとても良い表情をされてポーズを決めていました。そのあと、みなさんのお母さんの思い出などを伺ったところ、「私の母は九十歳まで生きたんだよ。」「よく怒られたよ。」とか「とても働きものだったんだよ、でもあのころは働かないといかれなかったからねぇ。」など、いろいろとお話していただきました。五月といえば端午の節句ですが、しらさぎでは男性利用者が一人しかいらっしゃらないため、母の日がメインになってしまいました。でも唯一の男性利用者に何もしないのは申し訳がないので(父の日でお祝いしてあげれば済むことですが・・・)、職員手作りの実物大兜で記念写真を撮りました。後で撮った写真をカードにして、みなさんにプレゼントしました。これからも元気でお過ごし下さい。

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今月の事業所便り

わきあいあい
おばあちゃんと一緒

  デイサービスわきあいあいでは、母の日のイベントとして、仮想コンサート「おばあちゃんと一緒」を行ないました。五月九日、十日の二日間にわたり行ないましたが、利用者様の笑顔がフロアー全体に広がり、笑いの絶えない二日間を過ごしました。また皆さんに楽しんでいただけるイベントを企画していきます。

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療養棟二階
母の日イベント

  療養棟二階では十五日に母の日のイベントを行いました。昨年に引き続き、職員がホストに扮して女性の方々をもてなしました。男性利用者は指をくわえて観ているだけになってしまうので、全員にウエルカムドリンクをサービスで提供し、女性利用者の方には好きなカクテルもサービスし、くじで選ばれた方はデュエットかツーショット写真のプレゼント。普段とは違った職員のいでたちに「似合っているよ」「かっこいいね~」と母というより女性としての感情を抱いて下さいました。

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ケアセンター朱咲
七宝焼きを体験しました。

  ケアセンター朱咲では五月十五日に七宝焼きを行ないました。利用者様の家族の方が講師として一緒に七宝焼きづくりを行なってくれました。七宝焼きは知っているけど、やったことがないという方がほとんどで、どの利用者の方も目をギラつかせながら最後まで集中して作っておられました。経験がある方も「久しぶりだから懐かしい」と思い出に浸りながら行なっておられました。完成したネックレスとキーホルダーを見て「綺麗、すごい!!」と、とても良い経験が出来たと喜ばれていました。

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あかしあの里Ⅲ
母の日に感謝

  五月十二日に母の日のお祝いをしました。カップの中に入ったカーネーションとお祝いの言葉に、入居者の皆さんが「きれいだわ。」「感謝って書いてあるよ。」と感想を述べられ喜んでくださいました。三時のおやつに苺のショートケーキをおだしすると、「こんなに美味しい物がいただけるなら、毎日母の日でいいわ。」と言う方がいて、皆さんの笑いで一日が終わりました。

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DSゆめさき
初夏到来!!つつじドライブ

  五月に入り、季節も「春」から「夏」へと移り変わるこの時期は、多くの花が咲き、色々な顔を見せてくれます。ゆめさきデイサービスでは八日、九日、十一日の三日間、前橋市宮城町三夜沢まで「つつじドライブ」に出かけてきました。三夜沢の赤城神社周辺は多くのつつじが植えられており、時期になると色彩々の花を咲かせ、それを目当てに来る観光客も多くいらっしゃいます。今年は、つつじの花が早く咲き、花が咲いている場所は所々でしたが、咲いている花を見て多くの利用者様から「キレイ」「やっぱりイイね!」と楽しまれている声が聞かれました。ブルーシートを持っていき、花がきれいに咲いているところでおやつを食べました。屋内で食べるのと違い、外出して食べるおやつは格別でドライブの楽しみをより一層引き立たせてくれました。最終日の十一日は、あいにくの雨に見舞われ、車から降りる事なく車中見物となりましたが、八、九日は雲一つない絶好のお花見日和となり、皆様充実して過ごされている様子でした。

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あかしあの里Ⅰ
太陽の下でピクニック

  あかしあの里Ⅰでは、五月二十一日に施設前のウッドデッキにてピクニックを行いました。天気も良く、心地よい風が吹くなかテントを張り、おにぎりやソーセージなど、沢山の料理を皆様美味しそうに食べていました。忙しいところを事務長も来てくださり、入居者様とお話ししながら一緒に食事をとって、とても楽しいピクニックになりました。入居者様からは「外に出てご飯を食べると美味しいね」という声も聞かれ、ピクニックをやってよかった!と思えたスタッフでした。

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療養棟三階
百寿のお祝い

  療養棟三階では、五月十六日に本間スイ様の百寿のお祝いを行いました。豊田部長からお祝いの言葉と賞状、花束の贈呈をし、とてもうれしそうに何度も「ありがとう」と仰っていました。歌が上手で日頃よく歌っている「ドンパン節」をご本人に披露して頂き、当日は百歳の誕生日との事で利用者、職員全員でハッピーバースデイの合唱のプレゼントを送りました。また、ご家族から心温まる言葉を頂き、会場全体が和やかなムードで包まれていました。

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星辰の家
童心に帰って端午の節句~誕生日会

  星辰の家では、五月二日端午の節句イベントで手作りの鯉のぼりを背景に兜をかぶって写真撮影を行いました。利用者様から「いい歳をして恥ずかしいよ~」という声も聞かれましたが、いざ椅子に座り兜をかぶると皆様笑顔で楽しんで写真撮影していただけました。鯉のぼりの歌を唄ったりしながら、鯉の模様の焼印が入ったおやつを召し上がり季節感を味わっていただきました。誕生日のお祝いとして、五月生まれの利用者様三名の方と外食ツアーに和風レストランまるまつへ行ってきました。スタッフが「お祝いなのでビールを飲みますか?」と声をかけると、お酒のお好きな利用者様が、目を輝かせて美味しそうに「プハァ」と召し上がり、お食事の生寿司や天ぷら、煮物や茶わん蒸しも「美味しいよ」と喜んで食べていただき、一緒に行った私達スタッフも嬉しい気持ちになり、楽しい一日となりました。

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クリニック通所リハビリ
母の日 カーネーション

  クリニック通所リハビリでは、母の日にお花紙と、折り紙で作った手作りのカーネーションを女性利用者の方々全員にプレゼントしました。利用者様には「きれいだね」と喜んで頂きました。男性利用者の方々は、今月の父の日を楽しみにしていて下さいね。また、五月に誕生日を迎えられた村田順子様の和歌の作品も紹介させて頂きます。

苦しみを 思い出にかえ この十年

            通所の友の ありがたきかな

ありがとう” たった一言 いうだけで

            二人の胸に 大きな虹が

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GHゆめさき
家族会で、バーベキュー

  グループホームゆめさきでは、五月二十六日に家族会を兼ね、倉渕の相間川温泉へ小旅行に行ってきました。当日は天候にも恵まれ、利用者さんの体調も良く全員参加する事が出来ました。たくさんのご家族にも参加して頂きました。昼食にバーベキューを行いました。先発隊で職員が行きバーベキューの準備をしてくれていたので、スムーズに行う事が出来ました。肉・野菜・焼そばを目の前で焼いて食べ、皆さんいつもよりたくさん食べられていました。バーベキュー後は、相間川温泉に入られる方、涼風の家にて休ませて頂く方とに分かれ、温泉には三名の方が入られました。「久しぶりに入った」「気持ち良かったよ」と家族の方とのふれあいも出来ました。涼風の家の利用者さん、職員の皆様暖かく迎えて下さりありがとうございました。家族との時間もたくさん作れ楽しい時間が送れたのではないかと思います。大変ではあると思いますが、これからも続けていきたいと思います。

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あかしあの里Ⅱ
みんなで楽しく昼食会

  あかしあの里Ⅱでは、五月二十九日に昼食会を行いました。今回は、焼きそばを中心に料理を作り皆さんでテーブルを囲んで仲良く昼食を食べました。普段とは違い、みんなでテーブルを囲んで食べると、話も弾み会話を楽しみながら昼食を食べる事が出来ました。食事もこうやって食べると美味しい気がするねと言って頂けました。次回は、外食も予定しているので、なるべく多くの入居者の方に参加して頂けるようにイベントを考えて行きたいと思います。

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春らんらん
摘みたてイチゴに大満足

  五月二十六日『ご家族と一緒のイチゴ狩り』に行って来ました。当日は、梅雨入り前の好天に恵まれ、絶好のイチゴ狩り日和。三台の大型車に分乗して春らんらんを出発。しばしドライブを楽しんだあといちご園に到着すると、ハウスの中は別世界。いちごの甘い香りに自然と顔もほころびます。さっそく、たくさんのイチゴの中から、それぞれに赤くて美味しそうなものを摘み取っていきます。収穫したイチゴは、口に入れると、甘くて少しすっぱくて、果汁たっぷり。お腹いっぱい召し上がっていただきました。最後に、園にそなえつけの、イチゴのケープとイチゴの帽子をかぶり、記念撮影。皆様、大満足で幸せなひと時を過ごしていただけたようです。

 

涼風の家
よもぎの会の皆さんが来所されました

  社会福祉協議会の手芸部「よもぎの会」の皆様が、今年も素敵なプレゼントを持っていらしてくださいました。毎年、手作りのティッシュカバーやメガネケースなどを頂いていますが、今年はいつもよりちょっと包みが大きいです!「どんな良いものが出てくるんだろう」と入居者の皆さんが、わくわくしながら包みを開けると、牛乳パックを活用した仕切りボックスが出てきました。この会には入居者様の顔なじみの方が多いので、いつもおしゃべりに花が咲きます。この日もとても賑やかで楽しい時間を過ごすことができました。頂いたボックスは大切に使わせていただきます。

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明月
皆さんとバーべキューをした母の日イベント!

  五月十一日にデイサービス明月では、グループホームと合同で母の日イベントとしてバーべキュー(お肉や焼きそば)をしました。利用者の皆さんからは「すごく美味しかったよ」、「また食べたいね」など喜びの声が多く聞かれました。他には折り紙で作ったカーネーションを付けた、「日頃の感謝の気持ちを込めて…ありがとう明月のお母さん」というメッセージカードを贈呈しました。来月も明月では利用者様に笑顔で楽しんで頂けるようなイベントを行って行きたいと思います。

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通所リハビリ
民謡踊り教室

  民謡踊り教室のご指導を頂き、十年以上が達ちました。現在は三ヶ月に一度の開催。初夏の風吹く五月十四日は今年二回目のご来館でした。美しい着物姿で先生方がお見えになると創春館がパーツと華やかになります。ご指導して頂いている踊りは「佐渡おけさ、草津節、斉太郎節」などたくさんあります。職員がなかなか覚えられない中、曲がかかると上手に踊られる利用者様がいらっしゃいます。若い頃に習ったことは体が覚えているんですね。すばらしいです!踊りの合間に今回は先生方に「射的」に挑戦して頂き、皆の応援を受け、みごと的に当たり拍手喝采を受けていました。最後に恒例の「百歳音頭」を踊って教室は終了しました。先生方のお人柄に職員共々元気を頂いています。

 

吾輩はジータである.そしてまた貴方に恋している

東郷 彦四郎

二十九章 ロマンチックな旅(五)「淡い恋心?」

 車は夕暮れ時の山陽道を走っていた。
「今晩は尾道国際ホテルに泊まります。」と、運転席の木暮氏が後ろの五人にふり向くようにして告げた。
「リンさん、今日は強行日程でお疲れになったでしょう。」と、上原院長が声をかけた。
「いえ大丈夫ですよ。秋吉台の鍾乳洞では、日本にもこんな所があるのかしらと驚きましたし、松下村塾もいい所でした。」
「リンさん、結構歩きましたけど膝は大丈夫ですか?いつでも横になれる準備をしますから、言って下さいね。」と、常木氏が声をかけた。
「お気遣い有難うございます。膝も大丈夫です。」「常木さんはいつもそんな風にやさしいんですよ。」と、さり気なく小林氏が言えば、「本当にそうなんですよ。何でも、御主人のパンツをはかせてあげるとか、寝る時は御主人と足をからめて寝るとかのうわさです。」と木暮氏。
「まぁ、そんなの嘘ですよ。」と、頬を赤らめながら高いトーンで反論すると、「ほんと、仲のいいご夫婦なんですの。」と、諸田師長澄ました顔で宣言。
「いゃー、年をとってもそんなに仲のいい夫婦っていやらしいですよね。絶対いやらしいですよ。」と、上原院長が言うと、「本当私達のように若ければ許せますがね。」と、木暮氏煽る。「そんな事ありませんよねえ、とても素晴しい事ですよ。」と、常木氏に言いながら、リンさんは今日の出来事を思い出していた。
上原と過ごした二人の時間である。あの時、鍾乳洞へ向う道を、やさしく車椅子を押す上原院長の思いやりを感じながら、さり気なく、独り言のように、前を向きながら話しかけた。「院長先生のように優しい御主人がいて、奥様は幸せな方ですね。」しばらくの間があった。聞こえなかったのかしらと思ったが、返事はどちらでもいい気分であった。
「実は女房は現在のところいません。」と、リンさんの背後から、上原は快活な響きで応えた。
「現在のところ?…お亡くなりになった?…これ以上は聞いてはいけない?…」などと胸のうちに考えていると、突然上原が車椅子を押すのをやめ、リンさんの前にまわりこみ、リンさんの目の前に小指を突き立て、「リンさん、私はこれで仕事をやめました。」とニコニコ笑いながら、リンさんの目をみつめた。ケラケラ笑うリンさん。後ろからつき従っていた三人は、院長とリンさんとの間にどんな会話が交わされていたか分らなかったが、院長のおどけた仕種に笑ってしまっていた。また車椅子を押しながら、「リンさん、本当ですよ。病院の看護婦さんといい仲になってしまいましてね。女房と別れる事になってしまいました。結局その看護婦さんとも別れ、現在は独身です。」
今迄全く聞いた事もなかった話に驚くと同時に、リンさんが感じていたわだかまり、手をつないだ時、車椅子を押して貰う時のわだかまり、奥さんに申し訳ないという心のひっかかりが、スーッと心から抜けて行くのが感じられた。心が晴れ々とするような気分を味わっていると、ふと、この人は、私の事をいくらでも好きだからこうして旅行に連れて来て下さったのかしら?という、自分でも全く思いもつかなかった考えが湧いてきた。そうした思いに途惑っている自分がいた。
過去に言い寄ってくる男がいなかった訳じゃない。随分昔、感じた事のある気持ちに途惑っている自分がいた。車に揺られながら、そんな思いを反すうしているリンさんがいた。 車は、すっかり辺りの暗くなった山あいのくねくねした道を走っていた。所々、視界が開けた所があり、そこからは月光に照らされた瀬戸内海や、海辺の灯りを眺める事ができた。車がそんな山あいの道から海辺のにぎやかな街に出ると、「リンさん、ここが呉市の中心部ですよ。」と、木暮氏が話しかけた。
尾道へ直行せず、わざわざ呉へ立ち寄るという木暮氏の配慮であった。群馬で作ったリンさんの慰問袋が届いた地、若い真一が、リンさんに恋い焦れながら、海軍兵として、汗や涙を流した地、戦争中の若い二人の手紙が行き交っていた地である。「呉ってこんな街なんですね。」としみじみリンさん。
「船のドックが見られますが、戦艦大和は、ここで作られたんですね。」と上原。
「昔はもっと人でいっぱいの街だったんでしょうか」などと感想を述べあっているうちに、車はにぎやかな通りを過ぎ、人家の少し山あいの道へと戻って行った。灯りも、通る車もほとんどなく、「どうもナビが間違っているみたいで、変な所に来ちゃいました。」と木暮氏。
「リンさん、トイレは大丈夫ですか?」と、諸田婦長の気遣いに、「そうですね、どこかいい場所があれば」と、リンさん。
「コンビニはこの辺りにありませんしねぇ…」と一同不安な気分になっていた時、「あちらにガソリンスタンドがありました。あそこでトイレを借りましょう。」と木暮氏が前方を見つめながら、指さした。
そこは滅多に車が停まらないような、古くうす汚れたガソリンスタンドであった。初老の人の良さそうな男性が、おっとりと中から出てきた。給油のお願いとトイレをたずね、女性陣三人が、リンさんをかばうようにトイレへ向かった。給油ハンドルを握りしめる男性に、上原が話しかけた。
「呉には戦前、沢山の兵隊さんの為の兵舎があった筈ですが、心あたりはありますか?」
男性は思いかけない筈のその問いを、待っていましたとばかりの素早さで、「ほら、あの向こうの高台になっている所、あそこが昔兵舎だった所です。」と、真っ暗な山のシルエットを背景に広がる、少し小高い平地を、誇らしげに指さした。
「あのあたりが、昔真一さんが住んでいたかも知れない兵舎があった所ですって、」と、上原が感動したにぶりで、トイレから戻ってきた女性陣に説明しても、反応は今一つだった。しかし、車が動き出した時、車内に奇妙な雰囲気が漂った。
「あそこの便所、今どきめずらしい木造のぽっとん便所なの。はね返りが心配な位。」
「落っこちそうで心配だったわ。」
「ほんとうにそう、それに風がスースー入ってきてお尻が冷んやりするの」などと女性陣が話していると、「俺達はキツネにたぶらかされているんじゃないの?」ちょっとあのスタンド現実離れしているよ、それに立ち寄った所が、真一さんの兵舎のすぐ側だなんてでき過ぎてる話だよ。
何か真一さんが俺達を呼び込んだ気がするな。まぼろしのスタンドで俺達を呼んだんじゃないの?」と、上原が言えば、「ほんと、そんな風でも全然おかしくないスタンドだったわねぇ…」「もう一度確かめに戻ろうか」などと、一同どんどん妙な気分に包まれていくのでした。
そんな風にして尾道に着いたのは、夜も八時をまわった頃でした。

 

院長先生の健康豆知識

睡眠雑記Ⅰ(睡眠と男女の関係?)

 十八歳の時です。現役での大学合格は叶わず、郷里を出て東京の予備校へ通っていました。下宿は北区赤羽にあり、古びた木造旅館を改造した一室で賄い付きで生活していました。ストレス一杯の生活だったせいでしょう。毎日、布団に入ってもたいてい一時間は悶々として眠れず、慢性の便秘に悩まされていました。月に一度は水戸にいる姉の所へ一か月分の下着を持っていくのですが、着くなり便意を催し一時間近く便所にこもっているというのも、いまだに姉が憶えているエピソードです。老人となった今では、眠れなくて困るという事は少なくなりましたが、もう少し寝ていたいのに四~五時間、ひどい時は三時間くらいで目が覚めることが頻回にあります。一般に年を取ると、寝入るのに苦労しないが早く目が覚めるといわれますが、私も立派な老人になっているようです。寝付くのには夜九時から十時くらいが最適だといわれますが、もし私がそんな時間に寝たら、夜中に目が覚めることになり、苦労するかもしれません。睡眠は大体二時間一セット(レム、ノンレム睡眠)になっており、二の倍数で目覚めやすくなるようですが、私の場合、三セット目で目覚めることが一番多く、実感としてはもう一~二時間寝られればベストの目覚めと感じています。睡眠というのは脳を休ませ、脳に栄養を与えるものであるようです。おいしい睡眠と言えましょうか。ここでいう脳は私たちの意識を作っている脳で、私たちの意識がなくなると脳幹部という無意識を司る脳が働き、睡眠を作り出しています。
 睡眠の構造は眠くなる物質(未だ確認されていませんが、とりあえず睡眠物質と名付けます。)と私たちが本来持っている意識と無意識のパターン(いわゆる体内時計)を組み合わせると理解しやすいようです。眠るというのは、眠くなる物質のせいで意識が低下し、無意識の領域に入ると考えればいいでしょう。私たちの体内時計は比較的規則正しく、暗くなれば眠くなり、明るくなれば目が覚めるようにできています。しかし、睡眠物質のコントロールはなかなか思うようにはいきません。例えば、多く昼寝なぞすると、睡眠物質は眠ると少なくなる訳ですから、夜なかなか眠くならなくて困るという状態になります。また、睡眠物質の姿も様々となります。例えば、頭脳労働は肉体労働よりも脳が疲れると思われがちですが、実際には肉体労働の方が脳を使っているという意見もあります。こうしてじっと座りながら文章を考えている場合と、テニスをしている場合のどっちが頭を使っているんだと考えたら、手足の操作、相手とのかけひき、風の読み、等々どうもテニスの方が広範囲に脳を使ってるんですね。睡眠物質と体内時計の関係を恋人同士の関係に例えると、睡眠は理解しやすいかも知れません。体内時計は、いつも静かな愛情をもって女性を待ち構える男性で、睡眠物質は奔放で魅力的な女性です。昼寝をして眠れない状態は、デートをすっぽらかされた男性の状況で、待てども待てども女性(睡眠物質)がやってこないのです。心地よい睡眠物質をたっぷり貯め込んだ状態は、魅力いっぱいの女性が愛情表現豊かに男性に迫ってくる状況です。待ってましたと待ち構える男性との至福の合体が得られ、爽やかな目覚めが得られます。そういう時ではないでしょうか、目に写るもの全てが新鮮で美しく感じられるのは。奔放な女性によって男女の関係が、揺れ動くのと同じく、睡眠の質も変化するのは、主に睡眠物質の挙動によるもののようです。心地よい睡眠物質を上手に操作する事が大切です。例えば運動、例えば楽しい会話、趣味、美味しい食事等々。上手に睡眠物質の加減を案配し、適切なタイミングで体内時計に渡す事が大切です。大ていの人が、いつも良質な睡眠を維持するのが、難しい訳は、男女の関係を考えればよく理解できると思います。いつも仲がよくて幸せなカップルというのは少ないと考えていますが、偏見でしょうか。睡眠で悩んでいる方は、自分の中の奔放な女性(あるいは男性)を意識して、彼等を手なずけるのだと努力すれば、眠れぬ夜もいくらか改善するのではないでしょうか。今現在、嵐のような男女関係に等しい睡眠障害の方は、医療が必要です。もつれた糸をほぐし、何とか普通の男性関係にまで戻してあげてください。(大した男女関係のない私が書いている事です、どこまで話が合っているか自信ありません。)

 

今月の行事予定

☆星辰の家☆

13日 おやつ作り
下旬 お誕生日会
   あじさいツアー

 

☆あかしあの里Ⅱ☆

 1日 衣替え
 4日 平石様誕生日会
16日 父の日イベント
未定 外食

 

☆通所リハビリ☆

 6日 南橘リコーダーの会コンサート
 8日 アロハエンジェルス発表会
11~13日 お誕生日会
14日 グリーンティコンサート
17日 父の日のお祝い
22日 ママさん音楽隊 演奏会

 

☆春らんらん☆

11日 お誕生日会
16日 父の日
 (焼きまんじゅう作り)
26~28日 ドライブツアー

 

☆療養棟二階☆

13日 買い物ツアー
19日 おやつ作り
26日 父の日イベント

 

☆朱咲の家☆

前半 アジサイドライブ
16日 父の日イベント
19日 アコーディオンボランティア
29日 合同お誕生日会

 

☆療養棟三階☆

13日 買い物ツアー
20日 父の日&おやつ作り
27日 お誕生日会

 

☆あかしあの里Ⅲ☆

13日 お誕生日会
15日 夢を叶えるツアー
18日 手作りおやつ
日程未定 あじさいドライブ

 

☆あかしあの里Ⅰ☆

上旬 外出予定
10、16日 お誕生日会

 

☆DSゆめさき☆

10日 お誕生日会
11日~13日 おやつ作り
17日 父の日のイベント
19日 フラサークルリノ
20、22日 映画上映会
21日 久保さんカラオケ
24日 原東カラオケ愛好会
25日 富士見町民謡会
26日 富士見歌謡連盟
27日~29日 紫陽花ドライブ

 

☆明月☆

15日 父の日イベント
 ポピー花見ドライブ
 アジサイ花見ドライブ
 お誕生日会

 

☆涼風の家☆

11日 介護相談員 来所
16日 お茶会
29日 GMW群馬 慰問
日時未定 おやつ作り

 

☆GHゆめさき☆

 8日 お誕生日会
13日 外食
16日 父の日イベント
19日 外出

 

☆GHしらさぎ☆

13日 バラ園ドライブ
下旬 おやつ作り

 

☆わきあいあい☆

4日パンバイキング
14日あじさいバイキング
20日甘味ツアー
26日お弁当の日

 

文芸作品

 風少し 春風らしく 音ならじ

 少しづつ 日差し延びきて 日脚伸ぶ

 

増田 静江様

 

 老いてなを ツッパリますます 強くなり

 ハテナ? サテナ?が ボケ防止

 初夏の風 今年もかわらぬ ここち良さ

 初夏の朝 そよそよと吹く 風にさそわれて

                 老々共々 あゆみだす

 創春館 風りんの音 夏はこぶ

ペンネーム 田口町 トーリン様

 

 ひとり来し 榛名湖畔の 茶店まえ

            「湖畔の宿」を 口ずさみいる

 時に泣き 時には励まし 風雪を

            越えき 金婚の年を迎える

 去りて三十年(みとせ)の便り絶え消えて 

            歳の速さも 八十(やそ)なかば

影山 えいじ様

 

編集後記

 今月よりさんぽみち編集の広報委員会は新メンバーでの発行となりましたが、さんぽみち六月号はいかがだったでしょうか?各事業所からの盛りだくさんの楽しいイベントや利用者様の笑顔をさんぽみちを通してこれからも伝えていきたいと思っています。ご愛読の皆様に楽しんで頂けるようスタッフ一同力を合わせて頑張っていきます。本年度の「さんぽみち」もよろしくお願いいたします。

広報委員長  永倉 淳也