平成24年8月号
さんぽみち8月号もくじ
・グループホーム涼風の家6周年記念
・介護支援センター創春館紹介
・今月の事業所便り
・吾輩はジータである
・院長先生の健康豆知識
・今月の行事予定
・行事企画委員会より
・文芸作品
・編集後記
明るく楽しく元気良く!グループホーム涼風の家
平成19年8月1日に涼風の家が開所して、早いもので5年が経ちました。入居者様2名、スタッフ7名でのスタートだったことが、昨日のことのように思い出されます。日々努力。日々勉強。スタッフが意見を出し合い、時には衝突もありましたが、「涼風の家を良くしていきたい!」その気持ちだけで、今日まで走ってきたように思います。
「相間にある施設は、一体何の施設だい?」開設当初、良く耳にする言葉でした。それが今では、「相間に“涼風の家”があるんだよ。」と、地域の方々にも覚えていただき、たくさんの方に立ち寄って頂けるグループホームになりました。5年という月日の中には、たくさんの出会いと別れがありました。嬉しいことは共に喜び、苦しいことや辛いことは分け合い、いつも入居者様とスタッフとが、気持ちを共有しながら過ごしてきました。以前、名倉理事長がこんなことを仰いました。『自分の家族と過ごすよりも、入居者様やスタッフと過ごす方が多い。それならいつも楽しく、笑顔でいたいじゃない♪』涼風の家のスタッフは今日も笑顔を絶やさず、個性溢れる入居者様と、楽しく元気に過ごしています。同じ時間を過ごすなら、やっぱり楽しい方が良い。明るく!楽しく!元気良く!倉渕という自然溢れる環境の中で、これからもスタッフ一同、努力を惜しまず頑張っていきたいと思っています。今後とも、グループホーム涼風の家を宜しくお願い致します。
グループホーム涼風の家 管理者 保科 仁美
介護支援センター「創春館」紹介
介護支援センター創春館(居宅介護支援)を紹介いたします。介護保険の在宅介護のサービスは、自宅に訪問してくれる「訪問系」(訪問介護、訪問看護、訪問入浴など)や介護施設へ通う「通所系」(通所介護、通所リハビリ、短期入所など)「その他」(福祉用具貸与・販売、住宅改修)多種多様にあります。
こうしたサービスを適切に選択することは容易ではありません。ご本人、ご家族が希望する生活、身体状態、家族の状況、費用(予算)、施設の空き状況、個々の事情を考慮して、サービスを効果的に組み合わせ、ケアプランを作るのが介護支援専門員(通称・・ケアマネジャー)の仕事です。介護支援専門員がいる事業所を「居宅介護支援事業所」と言います。前橋市内では123事業所(平成24年6月現在)があります。そして、当法人の「居宅介護支援事業所」は「介護支援センター創春館」と言います。
介護支援専門員のもう一つの役割としては、コーディネーターとしての機能です。各種サービスの専門職、民生委員、ボランティアなどによる援助者チームをコーディネートします。
介護支援専門員の主なサービス内容としては、介護を必要とする方や家族の相談、要介護認定申請の手続き代行、ケアプラン(居宅サービス計画)の作成、介護サービスを提供する事業者への連絡・手配ほか、地域包括支援センター、市役所、保険医療福祉サービス、ボランティア連携などがあります。
介護にお悩みのことがあれば、介護の知識を幅広く持った専門家が、皆様からの相談をお受けいたします。介護支援センター創春館をよろしくお願いいたします。
今月の事業所便り
あかしあの里Ⅲ
願い色々、七夕祭り
7月7日に、七夕を行いました。1週間前から七夕飾りを作ったり、短冊に願い事を書いていただいたり、楽しい準備期間を過ごしました。願い事をお聞きすると、「もう歳だから、願いなんてないわ。」とおしゃる方や「旨いもんが食いたい。」「みんなが元気で過ごせればいい。」といくつものお願いを言う方と皆それぞれでした。短冊を大きな笹に飾りつけ、とても立派な七夕飾りが出来上がりました。当日はあいにくの曇り空でしたが、きっとみんなの願いは届いたと思います。
あかしあの里Ⅰ
お願いはドラ焼き??
あかしあの里Ⅰでは7月5日に七夕会を行いました。七夕飾りの準備では、利用者様が中心となり、折り紙で飾りをがんばって作りあげてくださいました。笹の枝に短冊や折り紙を職員と一緒に飾り付けていると「またどらやき食べたいな」という声が聞こえ、七夕会昼食にリクエストに、こたえて赤飯、星型アイスデザート、おやつに手作りどら焼きを作り、おいしく頂きながら職員による踊りをみて楽しまれました。一緒に手踊りもされて「よかったよー」という言葉を頂きました。手作りおやつは利用者様から大変好評でしたので、今後もおいしい“食”について企画をしていきたいと思います。
涼風の家
今年はマスのつかみ取り
涼風の家では去年、釣り堀でマス釣りを行いました。今年は庭に用意したビニールプールの中にマスを放し、つかみ取り大会を行いました。手の間を逃げる、にゅるっとしたマスの感触に、皆さんもう大騒ぎ。「あぁ~、逃げちゃったぁ!」「わたし、つかまえたよ!」やっとの思いで捕まえたマスは、串にさして塩焼きに。そしておいしくいただききました。
あかしあの里Ⅱ
みんなで流しそうめん
あかしあの里Ⅱでは、7月20日に流しそうめんを行ないました。夏らしい行事を楽しんでいただこうと実施したのですが、曇りでちょっと涼しい日になってしまいました。しかし、皆さんにご参加いただいて、賑やかに行う事が出来、とても楽しいイベントになりました。皆さん、流したそうめんを一生懸命にとっていて、そうめんだけでなく、天ぷらなども食べていただき、とても盛り上がりました。今後も、夏の行事を実施していき、この暑さを乗り切っていただきたいと思います。
ケアセンター朱咲
リクエストはホットケーキ
ケアセンター朱咲では、7月12日に1階にて小規模利用者様2名の誕生日会を実施しました。利用者様のリクエストでホットケーキを作り、皆様が好きな物をトッピングして召し上がられました。中でもあずきを選ぶ方が多く「生クリームと相性がいい」という声があがりました。皆様美味しそうに召し上がられました。プレゼントを渡した後、2人の利用者様へ他利用者様、スタッフから1人ずつお祝いの言葉を送りとても喜ばれました。
通所リハビリ
一度はやりたい?ちゃぶ台返し
創春館デイケアでは、7月7日、七夕祭りを開催しました。天井に届く程の笹の枝に、利用者様の願い事を書いた短冊を下げ、色とりどりの手作りの飾りをつるして、笹の枝をいっぱいにしました。お祭りに、色を添えるゲームでは、男性人気ナンバー1の射的、一度はやってみたい?ちゃぶ台返し、記念に残るプラ板作りに挑戦して頂きました。
射的では、男性陣のピストルを握る手つきと構えが、さながらガンマンの様でした。ちゃぶ台返しは、今はそうそう実行する人もいなくなっていると思いますが、たまには、そんな衝動に駆られる日もあるのでは?と想像しての企画でした。ひっくり返す手に、特別な力がこもっているように見えたのは、気のせいではないと思います。プラ板作りでは、お好きな絵柄に個性的な色をつけて世界にたった1つのキーホルダーの出来上がりです。かわいいキーホルダーを手に、歓声があがっていました。おやつには、屋台で買った気分の鯛焼きを食べて頂きました。年に1度の七夕祭り、天の川に思いを寄せて、七夕の歌で締めくくりました。
わきあいあい
スイカでフルーツポンチ
デイサービスわきあいあいでは7月23日に手作りおやつとしてスイカでフルーツポンチを作りました。梅雨が明けても天候は定まりませんが、夏の風物詩であるスイカは利用者様にとっても心をウキウキさせるものだったようです。皆様、大満足のご様子でした。
GHゆめさき
嫌いな人でも夢中になりました
グループホームゆめさきでは、毎年恒例となっている流しそうめんを7月7日に行いました。当日は家族の方にも参加していただきました。ホーム内を横切るように竹を設置しました。準備も整い、いよいよスタートです。そうめんが流れ始めると入居者様は、竹の左右から次々に箸を出してそうめんを取られていました。いつもとは違う食べ方だったので「そうめんは嫌い」と言っていた入居者様も立ち上がって食べられる程でした。「あー美味しかった」「食べ過ぎちゃった」と、とても楽しんで頂けたようでした。これからも、楽しんで頂ける企画を考えていきたいです。
療養棟3階
七夕会&おやつ作り
専門棟3階では7月5日に七夕会とおやつ作りを開催しました。七夕会では、職員が織姫と彦星に扮装し2人が出会う場面を表現しました。又、利用者が短冊に書いた願いをいくつか発表させて頂き、叶うよう祈りました。次いてのおやつ作りでは星形のかんてん入りのあんみつを作り、笹に吊るされた飾りを眺めながら皆でおやつを味わいました。
療養棟2階
職員はがんばってるんです
7月25日に療養棟2階ではお誕生日会を楽しんでいただけるようゲーム大会を行いました。ゲームの内容は五つのうち1つだけからし入りがあるシュークリームを誰が食べたのかを当ててもらったり、数名でくすぐられている演技をして、ほんとにくすぐられているのは誰かを当ててもらうゲーム。また、職員による真剣なコーラの早飲み対決をし、誰が勝つのか予想してもらったりと、職員全員で身体をはったり・名俳優ばりの演技をし、利用者も真剣に予想をして、皆が笑顔で楽しまれ、利用者の中には、参加させてくれと言う声も聞かれていました。お誕生日者からは、こんなに楽しく祝ってもらえてよかったという声が聞かれていた為、これからも皆で力をあわせて、利用者の心に残るようなお誕生日会やイベントを行っていきたいと思います。
クリニック通所リハビリ
エコで涼しく
クリニック通所リハビリは、真夏になると西日が当たりとても暑くなります。その為、今年は少しでも涼しく…と思っていたところ、利用者様から苗のご提供があり、グリーンカーテンを作ることになりました。ところが植えてみたものの、虫に葉を食べられてしまうなど、なかなかうまく育ちません。現在、ヘチマとフウセンカズラがやっと窓の下まで成長してきました。利用者様に涼を感じていただくためにも、なんとか間に合えばと願って水くれをしています。
星辰の家
こちらも合同で流しそうめん
星辰の家では、7月6日に小規模・グループホーム合同で、季節感を味わっていただこうと、七夕会で流しそうめんを実地しました。そうめんを流し始めると、座っていらっしゃった利用者様も立ち上がり、真剣な表情になりご自分で手を伸ばし、箸ですくい召し上がっていました。そうめんの他に、おにぎり・デザートを提供しました。利用者様からは「いっぱい食べちゃったよ」や「美味しかったよ」と喜ばれていました。星辰の家では、初めての流しそうめんでしたので、不安もありましたが行って良かったと思います。次回も皆様に楽しんで頂ける様なイベントを企画していきたいと思います。
春らんらん
けやきウォークへ買い物ツアー
春らんらんでは7月17日・18日・19日と前橋のけやきウォークへ食事・買い物ツアーに行って来ました。ショッピングモールの大きさに皆様驚かれ、普段なかなか出来ない買い物を楽しまれ、フードコートでの食事は、食べたい物をご本人に選択してもらい、召し上がって頂きました。いつもと少し違った雰囲気の中での食事に皆様「美味しいよ~」と、とても喜ばれていました。
明月
暑さを吹き飛ばす夏のスペシャルイベント!
夏の風物詩といったら・・・
明月では7月23、24日と流しそうめん大会を行いました。そうめんとともに流れてくる野菜や果物にハラハラ、ドキドキ。夢中になって皆様おいしく召し上がって頂けました。お腹いっぱいになった後も、花火やスイカ割りといった夏にピッタリのイベントで盛り沢山。花火に負けないキラキラ輝いた笑顔で子供の頃に戻ったように楽しんで頂けました。目隠しをして挑んだスイカ割りも声を掛け合い、大きなスイカを割ることが出来ました。
DSゆめさき
暑い夏も元気に
デイサービスセンターゆめさきでは7月25日・26日・28日に毎年恒例となっている「流しそうめん会」を開催しました。今年は去年に比べて長い竹を使用し、1度に数多くの利用者様が楽しんで頂けるように工夫したところ、皆各々の場所でお箸を伸ばし、夏の雰囲気を感じながら、流しそうめんを楽しまれておられるようでした。このところ猛暑が続きますが、今後もゆめさきでは涼しい雰囲気のイベントなどを企画していき、利用者様とともにこの暑い夏を元気に乗り切っていきたいと思います。
しらさぎ
七夕にバラ園にドーナツ!!
グループホームしらさぎでは、6日に前橋七夕祭りの見学に出かけました。「初めて見たよ。」という利用者様もいらっしゃいましたが、車中から七夕飾りを眺めたり、屋台からの良い匂いを嗅いで、祭りの雰囲気を楽しまれていたようです。七夕見学の後、敷島のバラ園で手作り弁当を召し上がっていただきました。外出の間は雨も降らず、利用者の皆様には、良い気分転換になったようでした。また、11日にはドーナツバイキングを行いました。いつもの食事とは一味違い、お皿に並べられたドーナツを早々に召し上がり、隣の席の人のドーナツに手をのばす方もいらっしゃったりと、微笑ましい光景も見られました。利用者様も職員もおなか一杯になり、満足したイベントになりました。また皆さんに楽しんで頂けるようなイベントを企画していきたいと思います。
吾輩はジータである そしてまた貴方に恋している
東郷 彦四郎
第十九章 「鎮魂の旅Ⅱ(ウェディングドレス)」
一九八五年二月十八日夕刻、リンさんが向かった東京Pホテルには、硫黄島生還者、遺族、関係者など総勢百人ほどが、集結していた。そして、その中に、真一の友人、石川聖がいた。終戦後十年経ったあの日、突然リンさんのもとを訪れた男である。真一と共に硫黄島で戦い、私は生き残り、真一は亡くなりました、と、リンさんには衝撃的な事実を告げた、その人である。あの日、兵服に縫いつけた、真一の手紙を持って、山口から前橋へやってきた。千春おばさんの不安げな視線を後にして、二人並んで桃の木川沿いを歩いた記憶はあるが、真一が死んだ、という衝撃だけ残り、どのように石川さんを見送り、家に帰ったのか、また、あの後、おばさんに何と報告したのか、全て忘却のかなたの世界となっていた。
ホテルのロビーで待ち合わせていたのだが、無意識のうちに、リンさんは、三十年前のあの日の、豆タンクのような石川の姿を追い求めていた。ロビーを歩いている青年達の姿を眺めながら、ふと、三十年の月日に気付き、石川さんは、とっくに還暦も過ぎた年令なんだと驚き、あわてて初老の男性を探していると、後ろから、「群馬のリンさんですか?」と、呼びかけられた。振り向いたリンさんに、「石川です」と微笑んだ男は、テカテカと頭の中央部がはげ上がり、頬のたるんだ肉は、見知らぬ老人の風貌であった。必死になって昔の顔を思い出していると、眼鏡の奥の柔和な細い目が、うっすらと昔の若い頃の顔と重なった。随分老けたなという印象と同時に、リンさんは自分の老いも実感する事となった。「コーヒーでも飲みませんか」と、ロビー奥の、身体が沈みこむようなソファーに、ちょこんとお尻半分をつっかけた。真向かいにいる石川が、いくらか曲がってきた背を伸ばすようにして口を開いた。
「過ぎてみればあっという間の三十年ですね。今回は慰問団に参加していただいて有難うございます。ご迷惑だったのではないでしょうか?」
「いいえ、そんな事は・・・」
「実は、リンさんの事は、前橋のおじさんと連絡がとれ、分かりました。おじさんは亡くなられ、おばさんは長男の方と一緒に生活されているんですね。勝手な事をして申し訳ないのですが、長男の方からリンさんの事を聞きました。ずっと独身だとお聞きしましたが・・・」
「その通りです。縁がなかったのでしょうね・・・」
「私はリンさんとお会いしてから、福島の炭鉱で働き、三十八で結婚しました。昨年長男に孫ができ、可愛くて仕方ありません。リンさんは独身にしても、今更こんな話を持ち込むのはご迷惑では、と悩みました。私自身、戦争の事はもう忘れよう、捕虜だった私は、ひっそりと生きていこうと思っていました。しかし、慰問団の話を聞き、真一の霊をなぐさめてやらなければ、なぐさめるいい機会だ、という思いが強くなりました。そして、あいつの霊をなぐさめるには、何よりもリンさんが一緒に行かなければ、と、思ったのです。・・・共に戦ったアメリカ兵との再会という企画には、いくらかためらいもありましたが、彼等だって沢山の兵士が亡くなったのです。もう敵とか味方とかじゃありません。正々堂々が好きだった真一も、戦いの後の和解を喜んでいる筈です。」熱く語る石川の顔を、つぶらな瞳に笑みをたたえ、じっと見つめるリンさん。ゆっくりおだやかに話し出す。
「もう私も六十になりました。真一さんとの事は遠い昔の事ですが、忘れた事はありません。思い出していただいてとても嬉しいです。石川さん、とてもお恥しい話ですが、聞いて下さい。実は、終戦後すぐに裁縫学校に行き、あなたとお会いした三十の頃には先生になっていました。一時それで生計をたてていました。真一さんとの結婚も夢みて、自分のウェディングドレスも作りました。石川さん、笑わないでくださいね。私、一度はウェディングドレスを着たいんです。ずっと自分のドレス姿を夢みていました。今回のお話で、硫黄島でドレスを着るという思いが急に湧き起こってきました。自分でも不思議な気持ですが、とてもはっきりした気持なんです。おかしいでしょうか、石川さん。この大きなバッグには、そんな事ができるなら、と持ってきたドレスが入っているんです。」と、ソファー横に置かれたバッグを指さした。ソファーに移動する時、リンさんの大きなバッグを不思議に思っていた石川は、謎が解けた思いと、何だか心の底から、じんわりと暖かいものがこみ上げてくるような喜びを感じた。
「リンさん、とてもいいお話じゃありませんか。リンさんの気持、分る様な気がします。私がお手伝いしますから、是非持っていかれたらいいですよ。リンさんのドレス姿、きっと真一も喜ぶと思いますよ。」
「ついでにお願いがあるんですが、なるべく人目につかない様に、内緒で着換えたいと思いますので、手伝っていただけますか?」
「大丈夫ですよ」と、石川は満面に笑みをうかべ、大きな声で応えた。その夜の夕食後、石川は真一の思い出を語った。それはリンさんにとって、おとぎ話の様なものだった。
「真一は俺と違って運動神経が抜群でね。中学一年の秋には、もう野球部のエースだった。上級生にねたみから喧嘩を売られてね。真一も黙って引き下がる様な男じゃないから、取っ組み合いになり、ユニフォームの袖がひきちぎられてね。それからずっとノースリーブのユニフォームで練習して、みんなの話題になったんだ。」「小学校の頃はガキ大将でね、同級生が他所でケンカすると、みんなは真一に助けを呼ぶんだ。真一が現場に駆けつけると、相手をにらみつけ、『おう、やるんか』とすごむと、一瞬相手がひるむ、それと同時に『何だやる気がないのか』と鉾をおさめ、相手がキョトンとしている間に、みんなの方を振り帰り、『みんな帰ろう』と引き揚げる、その駆け引きが絶妙でね、だから真一が行くと、実際のケンカはなくても、何か勝ったような気分で、うまく事がおさまるんだ。」
男らしい真一の小さな頃の姿が、目の前で動いているような楽しい話だった。
心の中で動き出した真一の思い出と共に、硫黄島慰問団約百人の一行は、羽田から、自衛隊手配のセスナ機に乗り込み、硫黄島を目指した。ゴウゴウと身体に響くエンジン音に揺られ、眼下に白く浮かぶ雲と、はるか下に雲の切れ目からのぞく青い海をぼんやり眺めながら、リンさんは、過ぎ去りし真一との手紙のやりとり、上野、高崎でのデート、などを思い出し、石川が持ち帰ってくれた真一の手紙の事を考えていた。
「リンさん、あなたがこの手紙を読んでいるという事は、私はこの世にはいないという事ですね。ですから、この手紙は私の遺言という事になります。…だからここで書いている事は、嘘、いつわりのない真情です。…ここ硫黄島は悲惨なところです。…やはり死を覚悟しなければいけないようです。…栗林中将という立派な方が、本土空襲を防ぐ為にもここで踏んばらねばならないと話されました。…本土のみんなを守る防波堤になるんだと…私はリンさんに爆弾が落とされないように頑張るつもりです。…時々、つらくて捨て場のない様な悲しみと、苦しみにおそわれますが、あなたがいてくれる事が、今にも破裂、爆発しそうな私の気持ちをやさしく包んでくれます。何度も何度もあなたとお会いした日々を思い出しています。…もう一度あなたを抱きたい…以前、島で唯一なぐさめられる時間は、夜の星座を眺めている時だと話しましたね。南十字星と銀河鉄道の夜についてもお話ししました。…星と一緒に遊ぶあなたの幻の姿を見るのが楽しみでした。あの時は、死んだ後、銀河鉄道からあなたを眺めているのを想像している時間でした。…本当にあなたの幸せだけが私の願いです。…死んだ私の事は早く忘れてどうかいい人を見つけて幸せになって下さい。そして、生きていくのがとてもつらくて、悲しい時は、夜空に浮かぶ星々を、じっと、しっかりみつめて下さい。星の光があなたの救いになると信じて下さい。…」
リンさんは、まだ見ぬ硫黄島と真一の死を味わい、じんわりと湧き上がる感情と共に、自分が着るウェディングドレス姿にも思いを馳せていた。
院長先生の健康豆知識
「お肌の大敵?」
ギラギラ照りつける太陽がまぶしい季節になりました。こんな季節はお肌の大敵で、日焼けを防ぎ、いつまでも若々しい肌でいたいという願望は、女性特有のものかと考えていましたが、最近ではこんな季節、スキンケアに努める男性が増えてきました。男性といってもほとんどが初老の方々ですがね。私が通っているテニスクラブでも化粧のように、白く日焼け止めを塗ってプレーする男性が多くいます。会員に皮膚科の先生がいて皮膚癌の予防にクリームを、と啓蒙しているせいかも知れませんが、六十前後の男性達が、いそいそと、手や顔にクリームを塗っている姿をみると、みんな嬉しそうなんです。日頃、化粧などする事のない男性にとって、顔に色のついたクリームを塗るのは、特別な体験なんでしょうね。どす黒く日焼けした肌に白く塗りたくられた顔で、ニタッと笑われると、癌予防だけでなく、お肌を美しくしていたい、といういじらしい気持がかいま見えて、少し気持悪くなります。そんな風に見ている私だって、以前はベタベタと塗りたくっていたのですから、あまり偉そうな事は言えません。老化現象としてのシミ、シワが気になる年令であり、その原因として、紫外線の影響が大きい、との知識と教養があってこその気持悪い所業です。
実際のところ、紫外線は、皮膚の表面ではシミの原因のメラニン色素を増加させ、奥にある真皮では、皮膚の「張り」のもとになっているコラーゲンを減少させます。紫外線をブロックする事はシミ、シワの増加を予防する事になり、ひいてはいつまでも若々しい顔でいられ、更には皮膚癌の予防にもなるという事です。だから日焼け止めクリーム万々歳、という訳にはいきません。私達の皮膚は、外からの侵入をブロックしているだけでなく、外と交流している臓器である事を忘れてはいけません。うるしかぶれなどの接触性のアレルギー反応はそのせいですし、皮膚の吸収力を利用して、以前から狭心症や喘息の薬などには、貼り薬が使われ、最近では認知症の薬にも貼り薬が登場しています。したがって、塗られたクリームが身体にどんな作用を及ぼすかについても注意が必要です。
現在のところ、日焼け止めクリームについては、塗られたクリームがどんな健康被害をもたらしているか、重大な副反応については聞いた事はありませんが、理屈としては、身体に吸収されたクリームの成分が、何等かの反応を起こしうる筈だと考えられます。そうした理屈は、肌に塗る全ての化粧品や薬剤についても言える事です。イレズミの針を媒介として、C型肝炎を発症する人も、同じような理屈です。自然の摂理で作られた皮膚に、安易に手を加えるのは危険という事です。
白人などは紫外線に弱い皮膚をもつ人達です。白い肌のせいで楽園であるアフリカから追い出され、そのうらみのせいで彼等の残虐性がある、という説もあります。日本人が、彼等のヒステリックな紫外線恐怖に付き合うのは考えものです。紫外線と言ったって、農家や漁業関係者、その他日中ずっと働いている人以外、そんなに一年三百六十五日、何時間も強烈な紫外線を浴びている訳ではありません。日本人の場合、特殊な人以外皮膚癌のリスクは低いと考えていいでしょう。反対に、元気で活動的な老後および骨粗鬆症対策には、適度の運動と、骨吸収に必要なビタミンDの活性化の為の紫外線が必要です。年をとっても若々しい肉体と美しい肌というのは、達成するのに難しい課題です。若ければ瑞々しい小麦色の肌というのが、健康の証なのでしょうが、年をとるとそうはいきません。小麦色の肌=シミ、ソバカスという事になります。皮膚の修復作業に衰えが生じているからです。若々しい肉体とお肌の為には、女性の場合、できるだけ室内の十分な運動(家事労働等)と、長くて、一時間程度の紫外線が必要でしょう。お肌を犠牲にしても戸外での運動を楽しみたい女性や男性の場合、お肌はある程度犠牲になるかも知れませんが、強固な骨格と強靭な筋肉が得られ、活動性が末永く維持されます。皮膚の問題は、紫外線に終始する訳ではありません。血液の循環や消化管などとも関連しあっています。刻みつけられたシミやシワが気にならない若々しい女性の表情とは、内面からにじみでるものだと感じています。
今年は昭和天皇と美智子様が出会った、軽井沢のテニスコートで、こんなに浴びて大丈夫かという位、目一杯紫外線を浴びる一日を過ごしました。火照った肌をなぐさめるような涼風を味わっている時、とてもさわやかで充実した気分が味わえました。紫外線には身体のホルモンを喚起する作用もあり、あの気分はそのせいだと思い込んでいますが、また味わってみたい体験となりました。ひょっとしたら、農家や漁業の方々のエネルギッシュな活動は、紫外線によるものかもしれません。
紫外線のため、子供達を戸外で遊ばせないなどという、バカげた事だけにはならない様願っています。
今月の行事予定
☆あかしあの里Ⅱ☆
上旬 おやつ作り
中旬 パンバイキング
下旬 スイカ割り
☆GHしらさぎ☆
10日 納涼祭
22日 流しそうめん&お誕生日会
下旬 おやつ作り(おはぎ)
☆療養棟二階☆
8日 おやつ作り
9日 買い物ツアー
22日 納涼祭<
29日 お誕生日会
☆あかしあの里Ⅰ☆
5日 お誕生日会
下旬予定 夕涼み会
☆明月☆
25日 6周年感謝祭
BBQ会
ドライブ
☆星辰の家☆
1日 誕生日外食ツアー
21日 おやつ作り(おはぎ)
☆春らんらん☆
14日 おはぎ作り
お誕生日会
☆通所リハビリ☆
6日 群大付属中学校 音楽演奏会
8~10日 納涼祭
11日 ヴィクトリー川田とブルーサウンズ
いくこフラサーク
20、23日 お誕生日会
28日 民謡踊り教室
☆朱咲の家☆
12日 かき氷作り
8月中旬~ 盆踊り練習
<GH>
30日 お誕生日会
☆わきあいあい☆
2日 パンバイキング
10日 ひまわりドライブ
15、21日 お誕生日会
29、30日 すいかポンチ作り
☆涼風の家☆
4日 涼風祭
☆療養棟三階☆
9日 買い物ツアー
16日 夏祭り
23日 おやつ作り
30日 お誕生日会
☆あかしあの里Ⅲ☆
10日 外食
12日 お誕生日会
21日 手作りおやつ(あんみつ)
日程未定 流しそうめん
☆DSゆめさき☆
1日 ブッチーライブ
6~8日 おやつ作り
9~10日 映画上映会
11日 久保さんのカラオケショー
27日 納涼祭
3・14・18・22日 お誕生日会
☆GHゆめさき☆
8日 流しそうめん
15日 おはぎ作り
18日 夕涼み会
25日 ぽらりす夏祭り
26日 GHゆめさき納涼祭、家族会
27日 DSゆめさき納涼祭
29日 流しそうめん
行事企画委員会よりお知らせ
今年も感謝祭の季節が近づいてきました!
毎日暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしですか?今年も感謝祭を開催いたします。予定としましては、バザーなど楽しみな企画が満載となっています。
開催日程は10月14日(日)を予定しておりますが、詳細につきましては、来月号のさんぽみちでお知らせいたします。皆様方の参加をお待ちしています。
文芸作品
夏の夜 ホタル飛びかう 涼しさに
足もはずみて 我が家へいそぐ
原田 カヅヱ様
藤棚の 下よりほんのりと
甘き香りに いっときを酔ふ
低気圧に 弱き身なれば Wにて
来たればただに 伏すのみなりし
今井 ミチエ様
編集後記
さんぽみち8月号はいかがだったでしょうか?今年の夏は猛暑が続いておりますが、皆様は体調を崩したり、夏バテになったりしていませんか?外出の際は、熱中症や脱水にならないよう暑さ対策を万全にし、お出掛けください。そして、美味しいものをたくさん食べ暑い夏を乗り切りましょう。
広報委員副委員長 永倉 淳也