平成27年12月号
・秋の実りに感謝して
・各事業所便り
・行事予定
・院長先生の豆知識
・文芸作品
・編集後記
秋の実りに感謝して
伊香保ケアセンター明月では、十八日に十日夜イベントを行いました。
十日夜とは藁で編んだ棒で地面を叩き、地面の神様に一年の豊作の感謝を伝え、来年も頑張っていただくようにお願いするという意味の他に、地面から害獣であるモグラを追い払う意味もあります。
まず、午前中に男性利用者様たちと藁鉄砲を作りました。皆さん、「昔取った杵柄」とばかりに張り切り「藁は濡らしてから叩かないとダメだよ。」「本当は編んだ藁で縛った方がいいんだけどねー。」と言いつつ、素晴らしい藁鉄砲を二本作って下さいました。
その間、女性利用者様たちは、アップルパイ作りを行ってくださいました。リンゴのコンポートをパイ生地に乗せ、フォークでつぶして形作ります。最初は「こんなの作ったことないから、出来ないよー。」と言いつつも、最後はフォークを取り合うようにして作ってくださいました。
さて、午後になり、いよいよ十日夜イベント本番です。昔十日夜をやったことのある方たちに、歌う歌を聴きながら行います。「とーかんや、とーかんや、ゆうめしくってひるねしなー♪♪」と歌いながら、元気よく、地面を藁鉄砲で叩いてくださいました。いつもは居眠りがちな利用者様もここぞとばかりにハッスルされて、藁鉄砲を壊すかのような勢いで、行って下さいました。
十日夜のイベントが済み、最後におやつのアップルパイを召し上がります。「食べた事ないけど、美味しいやね。」「頑張った甲斐があったよー。」と言いながら、皆様満面の笑みで召し上がっていらっしゃいました。
職員も、十日夜という行事を行ったことが無かった職員も、利用者様に教えていただきながら今回のイベントは行えました。今後も、群馬や伊香保の伝統的な行事などを利用者様に教わりながら、明月らしい楽しいイベントを行っていきたいと思います。
今月の事業所便り
涼風の家
共用型デイサービス始めました
涼風の家では、十一月一日から共用型デイサービスを開始しました。共用型デイサービスとは、グループホームの共有部分を使用して行われるデイサービスです。単独で行うサービスではないので、一日の利用定員も三名と少ないです。日中はグループホームの利用者様と一緒に過ごしていただきます。
共用型デイサービスの特徴とは
・一日の利用料が一般の通所介護、単独型認知症通所介護に比べ、約半分と低く設定されています。
・グループホームの九名のご利用者様と日中一緒に過ごすことで、落ち着いてゆったりとしたリズムで生活していただきます。
まだ、運営開始したばかりですが、より良いサービスを提供できるように職員一同頑張りますので、宜しくお願いします。
そんななか、一日には初のデイサービス利用者様をお迎えし、全利用者様そろって秋のドライブに出かけてきました。目的地は紅葉を楽しみながら、四〇六号線の途中にある土日限定オープンの幻(?)の焼饅頭屋さん「山猫庵」です。お店の前では手作りの猫のオブジェが利用者様を出迎えてくれます。お店の中に入って早速焼饅頭を注文すると、味噌の焼ける甘い香りに皆さん待ちきれない様子でした。焼き上がったお饅頭(ごまみそ焼饅頭と揚げ饅頭がおススメです!)がテーブルに並ぶと、皆さんあっという間に召し上がってしまいました。天気の良い日には外でも食べられるので、また次は暖かくなったら、皆さんで是非出かけたいと思います。また十五日には板前さん(!)にお願いして、回転しないお寿司屋さんが、一日限定で開店しました。目の前で握ってもらうお寿司は最高に美味しく、皆さん終始笑顔でお寿司に舌鼓を打っていました。こちらも皆さんあっという間に、いつもよりたくさん召し上がり、ご満悦の様子でした。今後も皆さんに喜んでいただけるような、イベントを企画していきたいと思います。
わきあいあい
紅葉の赤い絨毯
デイサービスわきあいあいでは、十九日に紅葉散策で榛東村の柳沢寺(りゅうこうじ)に行って来ました。赤く色づいた紅葉(もみじ)と五重塔に仏像、鐘楼堂とが良くマッチして綺麗でした。カメラがお好きな利用者様でしたので、紅葉の絨毯の上を散策しながら「ここの景色も、あっちの風景のいいね」とカメラに収めていらっしゃいました。また、二十六日で百一歳を迎えられた、利用者様のお誕生日会を利用者様全員とスタッフでお祝いをさせていただきました。【目指せ‼日本一の長寿】の掛け声と共に万歳で締めて、お誕生日会も盛り上がりました。これからも人生の先輩の方々がより良い日々を重ねて行かれるお手伝いを全力でサポートさせていただきたいと思います。
朱雀の家
焼きいも大会開催
秋の風物詩「さつまいも」を使い、十一月十二日に開催した焼き芋大会で沢山の『美味しい』をいただくことができました。
予定では別日を予定していましたが、あいにく雨天の為、延期した十二日は曇り空で肌寒い日。雨の降りそうな雲行きで、バーベキューコンロで火をおこしていくのに今日も天気は心配だ…と思いつつ火おこしを開始。炭に火がつくと待ちきれない様子で一人、また一人と様子をのぞきに来たり火にあたりに来たりする利用者様たち。みなさーん、まだ焼きいもになってないですよ!さつまいもを焼き始め待つ事四十分。コンロを囲み、みんなで一斉に食べると「甘くておいしい!」と大好評。残った焼きいもは夕食のご飯に混ぜて芋ご飯として食べ、一粒で二度美味しい大満足の一日でした。
通所リハビリ
主役はあなた「創春館通所リハビリお誕生日会」
通所リハビリのお誕生会をご紹介します。お誕生日は年に一度の特別な日です。十一月通所リハビリでは、十一名の方が誕生日を迎えました。「この歳になると誕生日なんて嬉しくないよ。」と言われる方もおられますが当日はネクタイをしめて、あるいはブローチをつけてと今年一番のおしゃれをして来館されました。今月のお誕生者様の最高齢は、九十一歳の女性でした。 会が始まる前に職員がお化粧をすると「普段化粧なんてしないから恥ずかしいわ。」と言いながらも鏡に映るご自身の姿を見て笑みがこぼれていました。入場曲に合わせてケア担当と一緒の入場。お揃いになったところで司会者がお一人お一人をご紹介、院長先生よりお祝いの言葉、師長よりスタッフ全員のメッセージを書き込んだ色紙のプレゼント、ケア担当と親しい利用者様からのお祝いのメッセージ、利用者様御自身のお得意なこと披露とプログラムは進みます。何よりもうれしいのはリハビリの友からの「一緒にがんばろうな。」という激励のひとことです。そしてこの日の為に鍛えた歌声や技の披露も感動的です。お誕生会の最後は、アーチをくぐって拍手の退場と、記念写真の撮影です。今回も眩しい程の笑顔の写真がたくさん撮れました。愛情いっぱいの色紙と、笑顔いっぱいの写真をお誕生会の思い出にしていただきたいと思います。
GHゆめさき
待ちに待った出前ラーメン
十一月十九日、ゆめさきの裏庭に一台のラーメン屋さんの車が到着。四人分ずつ出来上がるラーメンの食べる順番をあみだくじで決め、「わ―一番だー。」と喜ぶ人に「大丈夫、ラーメンは逃げないから。」と慰める人。皆さん、待ちきれないようでした。風もなく暖かい日であったので、デッキにて食べることに・・・テーブルに運ばれたラーメンを「美味しいね。」「昔の味に似てるね。」と汁も残さずたいらげ「あー美味しかった。」と満喫されていました。「私のはまだー?」と待っていた人も運ばれて来たラーメンに「いっぱいあるねー。」と満面の笑みを浮かべていました。利用者様、職員ともお腹いっぱい食べ、大満足で終えることが出来ました。入居されてから初めての経験で、昔は家でラーメンを取って食べた事を思い出されたことでしょう。これからも懐かしい頃を楽しめる行事を行っていきたいと思います。
星辰の家
恒例の紅葉ドライブツアー
星辰の家では、毎年恒例の紅葉ドライブツアーで赤城木の家に行ってきました。天候が悪い時もあり、予定の日時で行けなくなったりしましたが、臨機応変、スタッフの協力のもと、無事に終える事ができました。利用者様も「きれいだね。」と大変喜ばれておりました。十一月誕生日の利用者様と外食ツアーで外食に行ってきました。利用者様の大好きな食べ物という事で、ラーメン屋さんに行って来ました。普段、食べる事のないラーメンを見て目を輝かせ美味しそうに全部食べきれました。利用者様からも「また行きたいね。」と言われ、職員も嬉しくなりました。充実した一日を過ごせ、利用者様もスタッフも息抜きができ、よかったです。
あかしあの里Ⅲ
秋の味覚でおやつ作り
十一月二十日、スイートポテトを皆さんに作っていただきました。蒸かしたサツマイモをつぶして下さるようお願いすると「何ができるの?」「美味しそうだね。」と口々に言われながら、丁寧につぶして下さいました。
丸める作業をしながら「いくつ食べたいですか?」と伺うと「三つくらいかしら。」と楽しそうに言われていました。焼き上げたスイートポテトをおやつの時間に提供すると「とっても甘いね。」「美味しい、美味しいです!」と、嬉しそうに召し上がってくださいました。次回も、その季節に合った美味しいおやつを皆さんと一緒に作りたいです。
しらさぎ
七輪で秋の味覚を
グループホームしらさぎでは、秋の味覚を味わっていただくという事で七輪を使い秋刀魚パーティを行ないました。七輪で秋刀魚を焼き出すと「昔はよくやったね。」と話され、こんがり焼けた秋刀魚を栗ごはんと一緒に青空の下、上手に秋刀魚を召し上がり外で食べる食事は美味しいと、とても嬉しそうでした。中旬にはお誕生日会を行ないました。九十三歳になられた利用者様の前に大きなケーキを出すと嬉しそうで皆さんにお祝いされ楽しいひと時を過ごして頂きました。下旬には手作りおやつをしました。りんごとさつま芋のケーキを作り準備中、利用者様にりんごやさつま芋を切って頂き、生地を混ぜ合わせオーブンで焼くとホール内に甘い香りが漂いとても幸せな気分になりました。利用者様も美味しいと満面の笑みでできたてのケーキを召し上がっていました。今後も利用者様が昔、経験した事をイベントに取り入れられたらと思います。
あかしあの里Ⅱ
楽しい浅漬け作り
あかしあの里Ⅱでは、十一月二十一日に浅漬けを作りました。
入居者の方に手伝っていただきましたが、普段は使う事のない包丁で切っていただくと、なんとビックリ!職員よりもリズミカルに上手に使いこなしていらっしゃいました。
他の方には、作業を分担して袋に詰めた野菜をもんでもらったりし、その後のお食事で、皆さん美味しそうに召し上がっておられました。また次回楽しんでもらえたら嬉しいです。
あかしあの里Ⅰ
まだまだ食欲の秋
あかしあの里Ⅰでは二十七日に出前食事会を行いました。事前に利用者皆様に食べたい食事を聞いて調査したところ、海鮮が断突で人気が高かったため、海鮮丼の出前を取ることに決めました。利用者様に召し上がって頂くと「美味い!」「美味しいね~。」と満面の笑顔で喜んで頂き、普段はなかなか食べられない高級食材のイクラに「私はイクラが一番好き。」と話されていた利用者様もおられました。今回の出前食事会は利用者様にたいへん好評をいただけたので、これからも利用者様に喜ばれるイベントを企画していきたいと思いました。
クリニック通所リハビリ
看板製作中
またまた、依頼が入りました!!クリニック通所では利用者様に一枚ずつ杉の木を彫ってもらい、それらをつなげて完成させる看板が大好評です。今までに当館の看板をはじめ、星辰の家の看板二つ目に取りかかっています。作業時には滑り止めマットや、机に設置できる置台を使用し、片手が不自由な方にも手作業のリハビリとして行ってもらっています。一枚ごとに彫る人の個性がみられていて、仕上がりがとても楽しみです♪♪
ゆめさきDS
ゆめさきに屋台ラーメンが来た
DSセンターゆめさきでは十六日、十八日にまずは、おやつ作りを行いました。女の神ごとで十一月十五日は「女天下の日」男性が台所に入り、女性はゆっくりします。また「油祝い」といい、油気のものを食べる習慣があり、主に野菜のたくさん入ったけんちん汁を食べ、栄養を補給すると同時に、寒さが本格化する前に滋養をつけるそうです。その為に今回のおやつはけんちん汁。最近では皆様が作らなくなったという、すいとんを中に入れて、煮込みました。当日お話させていただくと「懐かしいねー。」「最近は作らないねー。」「昔は良く作り食べたものだよ。」と懐かしがられていました。人参、大根、ねぎ等の野菜を切っていただき、鍋で炒め、水、だし、醤油、味噌を入れて味を調えます。野菜が沢山入り栄養満点!丁度いい量であり、「美味しかったよ。」「味が丁度良くて懐かしいねー。」と、お褒めの御言葉をいただきました。十九日には初めての企画!屋台ラーメンが、ゆめさきにきました!昔は屋台のラーメンが町中にありましたが、最近では見なくなり、食べる機会が少なくなったものです。その為、皆様に昔を思い出していただきながら、そして、おいしく、楽しく食べていただけたらとの思いで屋台ラーメンイベントを行いました。「久しぶりにラーメンを食べたよ、ラーメンは美味しいねー。」「毎年二回~三回の割合でやってほしいもんだよね。」などのお声が聞かれ、あまり食のすすまない利用者様も完食できたご様子です。心配もありましたが、良かったとの声をいただくことができ、企画してよかったです。また、変わり種の企画をしていけたらと思います。
療養棟二階
いっぱい食べた誕生日会
十一月二十五日に誕生日会を行いました。十一月にお誕生日を迎えられた方で食べるのが大好きだという方を喜ばせる為、ヨーグルトやシュークリームなど甘~いお菓子をたくさん用意し二人羽織を行いました。「久々に大笑いした!」「いっぱい食べたよ。」
などと嬉しいお声をいただいた反面、「微妙だったかな~。」「あんまり楽しくなかった。」など厳しいお声もいただきました。
もっと準備を十分に行っていればうまくできたのではないかと反省し、今回の経験を無駄にせず次のイベントにつなげていきたいと思います。
療養棟三階
季節の食材を使った茶巾絞り
療養棟三階では十九日におやつ作りを行いました。秋が旬な食材かぼちゃとさつまいもを使用した茶巾しぼりです。利用者様それぞれお好みの餡を選び職員と一緒に作業を行いました。始まる前は「これから何をするんだい」というワクワクした様子で職員の作り方の説明に真剣に耳を傾けられていました。作業に取り掛かると皆さん思い思いに形を作られ「少し難しいけど楽しい。」「早く食べたいな。」「おいしそう。」と話されていました。完成後はお茶と一緒に召し上がっていただきました。お皿の上にあったものがあっという間になくなっており、みなさんおいしく召し上がって頂けたようです。
ご自身で作られたこともあって完成した後は達成感を感じているようでした。次回のイベントでも利用者様と一緒に楽しく、その季節ならではの食材を使用したおやつ作りを企画していきたいと思います。
春らんらん
紅葉のフォトフレーム作り
十一月十一日、春らんらんでは『紅葉フォトフレーム作り』が行われました。まずは木だけが書かれた台紙に様々な色のインクを指につけ葉を色づけていきます。そこに事前に作成してあったフォトフレームに落ち葉を貼り付け、色付けの完成した台紙を貼って頂きました。
最初は進め方にとまどう利用者様もいらっしゃいましたが、一つ二つと自らの指で葉をつけるうちに、その表情は絵描きさんのような雰囲気をかもしだし、皆さん真剣な様子で作業されていました。思い思いの色や落ち葉をデザインし、世界に一つしかない自分だけのフォトフレームが出来上がりました。色づいた紅葉フォトフレームを見て満足そうな利用者様の笑顔に、私達職員も嬉しい気持ちになりました。
今月のイベント
☆涼風の家☆
8日 お誕生日会
下旬 おやつ作り
☆春らんらん☆
5日 ハワイアン慰問
22日 忘年会&鍋パーティー
25日 クリスマス&お誕生日会
28日 もちつき
☆わきあいあい☆
3日 お誕生日会
16~18日 さざんか散策
23~25日 クリスマス会
☆明月☆
8日 伊香保保育園慰問
24日 一真会慰問
25日 クリスマス会
30日 明月忘年会
☆通所リハビリ☆
5日 富士見ハーモニカクラブ
15日 響かおる&キャッスルリバー
16~18日 お誕生日会
19日 ヴィクトリー川田
とブルーサウンズ
(いくこフラスクール)
22日 ミュージカル
「東京オリンピック2020」
29日 お疲れ様会
30日 カラオケ大会
☆GHゆめさき☆
13日 家族会・忘年会
25日 クリスマス会
未定 餅つき
☆星辰の家☆
3日 おやつ作り
4日 誕生日外食ツアー
21日 クリスマス鍋パーティー
☆あかしあの里Ⅲ☆
9日 忘年会
15日 大掃除
20日 手作りおやつ
25日 クリスマス
☆しらさぎ☆
15日 クリスマス会
下旬 おやつ作り
☆あかしあの里Ⅰ☆
12日 鍋パーティー
25日 クリスマス会
☆あかしあの里Ⅱ☆
22日 冬至
25日 クリスマス
31日 忘年会
☆朱雀の家☆
4日 慰問
15日 慰問
19日 キャンドル作り
25日 クリスマス会
☆ゆめさきDS☆
7日、9日 お誕生日会
14日、16日、19日 おやつ作り
21日 上映会
22日 久保さんカラオケショー
26日 上映会
25日 クリスマス会
28日 大忘年会(富士敬子ショー)
☆療養棟二階☆
16日 おやつ作り
23日 誕生日会
30日 忘年会
☆療養棟三階☆
17日 餅つき
24日 お誕生日会
31日 忘年会
院長先生の豆知識
「私の父親と寿命について」
もう師走になってしまいましたね。一年が過ぎるのがあっという間だという印象をもつのは、私一人じゃないようで、どの人に聞いても、一年が早いという応えが返ってきます。「早く来い々お正月」どころか、「もう正月?」というのが実感ではないでしょうか。
私の家では、元旦には、両親は和服を着て、私達子供達もきれいな格好をさせられました。畳の上のちゃぶ台に並べられたおせち料理を前に、他人行儀な父親の年頭のあいさつを聞くのが、たまらなく恥ずかしかった思い出があります。日頃父親はコップ酒でグイグイやっていたものですから、お銚子で飲むのは、正月のみの酒の作法だと思っていました。後年宴会の席で、お銚子で飲んでいる人が沢山いるのを見て、あんなに少量で足りるのかな、と、驚いた事があります。父親は酒を飲めば最高に楽しい人でした。飲むと人格が豹変するのです。通常は無口で謹厳実直が歩いているような人でした。机の中などは、万年筆の向きまで気を付けているような人です。誰かが机の中をいじくると、すぐ犯人は誰だ、と、怒っていました。それが、酒が入ったとたん、たまらなく幸せそうな笑顔で、冗舌になり、酒くさい息でジャレついてくるのですから、子供心に、嬉しいような、この人なんなんだと不思議な気持でした。父親が酒を飲むと家庭内の雰囲気が和らぎ、何か父親に買って貰いたい物がある時は、みんなそんな時を狙っていたのです。そんな父親を持ちながら、私は全くアルコールがダメなのですから、遺伝とは不思議なものですね。もっとも、私は、間近に酔っぱらいの生態を見ていたせいでしょうか、飲めなくても恥ずかしがらずに芸の一つや二つはやります。まだもっと若く、分別が少ない頃、とあるスタッフの結婚式での事、スタッフと一緒に看護婦に変装して歌や踊りをやったんです。変装を解いて席に戻ったら、花嫁の親戚と思しき六十代位の男性が、ニコニコしながら近づいてきて、酒くさい息をはきかけながら、「まあ一杯どうぞ、先程はご苦労様でした」と、私に杯を預けようとしたのです。「申し訳ありません、私は飲めないんです。」と断ったら、とてもびっくり仰天という顔で、「飲まないであんな事できたんですか?」と言いつつ、親戚グループが集った方を振り向きながら、「おーい、この人飲めないんだってよーっ」と、叫んだのです。過去にも、宴会の後数日して、あの時は名倉さんずい分酔っぱらっていましたねぇ、と、言われた事が何回かありますが、世間一般では(特に関東では)、宴会ではしゃぐのは酔っぱらいのやる事なんでしょうね。もっとも私の事をよく知っている人なんぞは、「痛々しいサービス精神」と表現する人もいますが。
父親の酒量は、サラリーマン仕事のストレスと共に年々増えていったように思い出されます。どうも四十代後半から閑職に追い出されたようです。五十を過ぎると失禁する事もあり、敷ぶとんの大量のオシッコを見ながら、バツが悪そうに、「若い頃はいくら飲んでも昨日の事を忘れるような事はなかったんだがなあ」と言っていました。そんな父は胃癌で五十七歳で亡くなりましたが、闘病中あと七年は生きたいと言っていました。ちょうど高一だった私が、大学を卒業する迄の年です。願いは叶わず、その後一年で亡くなり、家族はその後父親の不在の不幸を味わう事になりました。そんな責任感の強い父親でしたから、もし夕食抜きの大量の酒とタバコが寿命を縮めると分っていたら、父親は抑制できただろうかと想像する事があります。多分禁煙はできるでしょうが、お酒はどうでしょう。できればいいお酒を飲んで長生きして欲しかったと思うのです。
医者からみて明らかに自ら寿命を縮めている人が沢山います。注意はしますが、分かっちゃいるけどやめられないのが人間の性(さが)かも知れません。不条理の世界だから、寿命は天の配剤という理屈も分かりますが、できれば身体の為にもいい事を言っている医者の言葉を傾聴して、天寿を全うして欲しいと願っているのです。
文芸作品
小雨降る 利根川を夜汽車の 灯が渡る
木枯しや ねじれて乾く 児のズボン
年の暮 大工が鳴す 釘袋
銀雪を 突き上げて つ 遠浅間
夕空に 星を引きつれ 焼芋屋
影山 えいじ様
坪庭の 山茶花咲いて 冬が来る
妻が又 柿の皮むき 干し柿に
友が来て 昔話に 花が咲く
珈琲は ホットにします 秋の夜
いつの間に 山紅葉は 里に来る
菅野 邦夫様
江原正夫様
鈴木福一様
編集後記
今年最後の、さんぽみちは如何だったでしょうか。今年も残すところ一ヶ月をきりました。クリスマスや新年にむけて忙しい毎日だと思います。私も悔いを残さない様に残り少ない日々を頑張りたいと思います。
来年もさんぽみちを宜しくお願いします。
広報委員 石原 純子